エルフ、当てる
『いるぜー』
『どうやってるのー?』
『なんでぜんぶあててるの?』
精霊さん達が私の周りを飛び回りながら口々に呟きます。
まあ、そうですよね。
私の目の前にはかなりの高さまで積み上げられたコインが山のようにあるんですから。
私の周りにはすでに他のお客さんはいない。いや、周りにはいるんだけど賭けようとしない。
「ま、回します」
震える声を絞り出しながら男性、ディーラーというらしい人がルーレット台にボールを投入します。
ボールが耳障りのいい音を鳴らしながら凄い勢いで回っていきます。
「赤で」
それを見て、聴いた私は持っているコインの山を全部動かします。
「また全部いったぞ⁉︎」
「どんだけ度胸あるんだよ」
「本気か⁉︎」
周りの方がうるさいです。
そしてディーラーさん顔真っ青ですね。
「し、締め切ります」
その声でルーレットを回るボールへと皆んなの視線が集中します。
やがて、ボールの勢いが弱まっていくと数字の書かれたボックスへと入っていった。
「あ、赤の九番です」
「「「またあてたぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」」」
「いただきます」
観客が絶叫みたいな歓声を上げた瞬間、ディーラーさんが白目を剥いてぶっ倒れました。
どうやらプレッシャーに耐えきれなかったみたいです。
『ねーねーいるぜ』
『どうやってあててるの?』
「かんたんです。見えてるのと聴こえてるからです」
『んー?』
『どういうこと?』
精霊さん達は理解できてないみたいですね。
仕掛けというものでもないのですが簡単なことです。エルフのよーく見える目でどこに止まるかを予測と更にエルフのよーく聴こえる耳でボールの回転数の予測を合わせているのです。
当然、これだけでひたすら当て続けることなんて無理です。ですから外れそうになればこのカジノ内を通る風を操ってボールを押しやったりしてます。
どうもこのカジノ、魔法が発生しないような仕組みを組んでいるみたいですがそれはあくまでも外部から発生しないようにしているだけのようでわたしのように中にあるものを使う魔法には干渉してこないようです。
おかげでやりたい放題なわけですけどね。
『でもさー』
『いるぜこんなにかってどうするの?』
「考えてない」
『『『えー?』』』
白目を剥いて倒れたディーラーさんが運ばれていくのを眺めながら私は答えると精霊さん達から呆れたような声が上がりました。
暇つぶしできただけだし?




