精霊、暴言をはく
目の前のドワーフさんはウェーナクサイトウとかいうらしい。区切るところはウェーナク・サイトウであるとめちゃくちゃ力強く言われた。クサイトウっはないらしい。
ウェーナクというのはまだいい。なんかいそうな名前だし違和感がない。だけど……
「サイトウって何?」
「儂が知るわけなかろう。爺さんのさらに爺さんもサイトウと名乗っとったらしいからのう」
「語呂が悪くないですか?」
「もう慣れたわ」
そういうものなの?
まあ、私もちょっと気になっただけだしいっか。
「それよりもエルフの子供がこんな店になんのようじゃ?」
「あ、そうだった」
ヴィから預かっていた紙をポケットから取り出すとそれをサイトウさんへと手渡す。
サイトウさんはそれを受け取ると折りたたんであった手紙を開き読み始めていた。
「ほほぅ、ヴィの嬢ちゃんの知り合いか」
「陛下って呼ばなくていいの?」
「嬢ちゃんがチビの頃から知ってるからな」
フォフォフォとヒゲを揺らしながらサイトウさんは笑う。
となるとサイトウさんは実は結構なお年なのでは?
ドワーフはエルフと違って不老じゃないけど結構な長命種だったはずだし。
私だって見た目は子供だけど百四十歳なわけだし。
「ちなみにサイトウさんはおいくつなんです?」
「儂か? 儂は確か六百くらいかのう」
私の軽く四倍くらい生きてらっしゃる。
やっぱりドワーフとかエルフは見た目で判断できないよね。丁寧に話しててよかった。
『じじいだ!』
『おいぼれだ!』
『ろうがいだ!』
『わかもののめをつむきだ!』
うん、君たちはもう少し年長者を敬う心を持った方がいいかな。選んでる言葉に悪意しかないよ。
「口の悪い精霊共じゃな! お主の精霊なら躾はちゃんとせんか!」
「精霊さんはお友達ですから」
お友達が何をしようと私には関係ないので。
無責任? 違います。自由を尊重しているのです。そして面倒な事には関わらないようにしているだけです。
「それで? ヴィの嬢ちゃんからは寝具を見せてやって欲しいと書かれているんだが?」
今だに喚いている精霊さんは無視する事にしたのかサイトウさんは私に尋ねてきます。
「ええ、ここがヴィのオススメと聞いたのできました」
「なんか希望があるのか?」
「よく寝れるのがいいです。あとは起きる時はスッパリと爽やかに起きれるのがいいですね」
「よく寝れてスッパリ起きれるとか矛盾しとるじゃろ……」
そう言い頭をかきながらもサイトウさんは店の奥へと姿を消す。
同時に今まで感じてた魔力も消えてる気がする。
遠くに行ったとかそんな感じじゃなくて急に消えた。
「精霊さん、サイトウさんの魔力が消えたんだけど」
疑問に思ったので家具を見ている精霊さんに聞いてみた。
『んー』
『べつせかいにいったみたいな?』
『いじげん?』
よくわからないなぁ。




