エルフ、たどり着く
「ここだね」
『ふるそー』
『れとろかんあふれるぅ』
ヴィに書いてもらったメモを頼りに歩く事三時間。
ようやく目当ての場所に到着しました。
「長かった……」
『いるぜがまったくちがうばしょにいくからだからね?』
『ぼくたちがめももってればよかった』
精霊さん達が疲れたようにため息をついてます。
だってあんなに道が複雑だとは思わなかったんだもの。
〇〇通りって多すぎるよ。
とりあえず! 目的地についたからよかったってことで。
到着したお店、「ウェーナク家具店」という名の家具店は古めかしい屋敷みたいな造りをしています。
玄関に看板がなかったらお店じゃなくて屋敷と勘違いしそうな作りですね。
それにあれだけ活気があった通りからは離れてひっそりと建ってますし、全く人の気配がしません。本当にヴィが紹介してくれた店なのかと疑ってしまうくらいです。
「お化けとかいそうね」
『? あんでっとのけはいはないよ』
雰囲気ですよ精霊さん。
首を傾げてる仕草は可愛いですけど。
「きゅふ!」
なぜかフィズはやる気スイッチらしきものが入ってる。
いや、仮にもお化けとかいたとしたら確かにフィズが吹き飛ばしてくれそうなんだけどね。
お化けが吹き飛ぶかどうかは疑問が残るけど。確実に店は吹き飛ぶだろうけど。
「とりあえず中に入ろう」
扉のノブを回して開くと扉に備え付けられていたであろう鈴が軽やかな音を奏でた。
「うわ」
『すごー』
『かぐだらけー』
扉を開けて店内に足を踏み入れた私と精霊さんは驚きの声を上げた。
入り口から視界に入ってくるのは家具、家具、家具。
通り道のような物は確保されているけどそれ以外は家具が丁寧に置かれている感じだ。
「なんか森にいたじいちゃんの家みたいだ」
エルフの森にもいましたよ。
使い方がわからないような武器を家中に飾ってる人が。あれと同じような匂いがします。
でも置かれている椅子やテーブル、他の家具のどれもが丁寧に扱われてるのがわかる。埃とか一切積もってないし。
『むむ、このさいくこまかい』
『きれいにむらなくけずってるぅ』
『しょくにんわざにまけたぁ』
精霊さん達も置かれている家具に興味津々。
細かく美しい細工を見て感嘆というか悔しそうにしてる。
「フォフォフォ、これは珍しいお客じゃな」
「ん?」
私も興味を惹かれたので家具を見ていると背後に唐突に魔力の気配が現れたので振り返る。
すると先程見た時には誰も座っていなかったはずのロッキングチェアーに小柄な人が座っているのが目に入った。
「さっきまでいませんでしたよね?」
「うむ、いなかったぞ。じゃがここは儂の家であり職場じゃ。誰か来れば顔くらいだすわい」
小柄な人、多分ドワーフはロッキングチェアーから反動をつけて飛び降りると私の方へと向かい歩いてきた。
「ふむふむ、お前さん、かなり精霊に好かれとるのぅ」
「友達ですが?」
「フォフォフォ、精霊が友達か。いいのぅ」
私としては精霊を知ってるあなたの方がなんなのか気になるんですが……
この街の人達の反応を見るに精霊という存在をしっかりと理解しているとは思えなかったし。きちんと理解しているのはヴィの側にいる人達だけなのかも。
「ドワーフさんで?」
「うむ、ドワーフ族一の家具職人、ウェーナク・サイトウとは儂の事じゃ」
ウェーナ・クサイトウ……
「変な名前ですね」
「なんじゃと⁉︎」
なんか怒った。




