エルフ、睨まれる
どこから私が起きたことがバレたのか私が寝ていた部屋にノックの音が響き、返事をしたらメイドさんが入ってきた。
曰く、「皇帝陛下がお話をしたい」との事らしい。
ならこっちに来て話をすればいいのに何故か私がヴィの所に行かなければいけないらしい。
これもアンやトロワが言うところのメンツとか言うやつなんだろうなぁ。
まあ、部屋借りてるわけだから仕方なしに私はヴィの元に向かうべくメイドさんの後に続く。そんな私の周りを精霊さん達が飛び回り、フィズ、アン、トロワが私の後ろに続いている。
歩きながら城の中を見ていると廊下のそこいらにそれとなく美術品のような物が飾られている。多分、高いんだろうなぁ。芸術とかよくわからないけど。
私がダンジョンコアの力で作り出した城の廊下には精霊さん達が作った物が無造作に置いてあるだけだしね。こういうのが美意識の違いなのかもしれない。
アンとトロワに整理整頓を頼もう。
あとフィズの部屋というかお宝部屋も何が入ってるのかわからないけど最近は扉が膨れてきてる気がする。
またよくわからない物を貯め込んでるんだろうなぁ。この前なんか廊下に奇声を発するクマの人形とか転がってたし、夜中に呻き声を上げながら飛んでる剣とかもあったなぁ。
あそこもアンとトロワに丸投げしよう。
「こちらが陛下がおられます、第二謁見の間になります」
自分の家のことを考えているとメイドさんの足が止まり、そこには巨大な扉があった。
「第二謁見の間……」
謁見の間、使い物にならなくなっちゃったしね。
でもあれはテレサさんをけしかけてきたヴィが悪いと思う。私は悪くないと思います。
というか話し合いのための謁見の間、二つあるんだ……
音もなく巨大な扉が開き、中が露わになる。メイドさんは扉の傍に立ち、頭を下げているだけで中に入ろうとしない。
え、入っていいのかな?
よくわからないけど扉が開いたから私は中へと踏み出す。精霊さんやアン、トロワ、フィズも私に続き中へと入った。
「ようこそ、イルゼ。ボクの帝国に」
私の正面に備え付けられた王座に腰掛けたヴィが不適に笑いながら告げる。
その王座へと続く絨毯を挟むように四人の騎士らしき方々がピンと背筋を伸ばして立っています。
なんかカッコいいのが腹が立つ。
「ようこそと言っても三日前からいたし」
「それは謝るよ。まだボクの事狙ってる奴がいるみたいだからね」
あれ? 私、疑われてる? そんな面倒なことなんてしないのに。
ヴィは苦笑してるけど側にいる四人の騎士さんの内一人の気配は笑ってないよ! むしろ圧を飛ばしてきてるよ!
多分、圧を飛ばしてきてないのはレオンさんとテレサさんかな?
「きゅう!」
『やるき? やるき?』
『まけないよ!』
『しろつぶす』
なんか私に向けられた圧に反応するようにフィズと精霊さん達が私の前に出てやる気になってる。
アンとトロワの顔は私の後ろにいるから見えないけど顔を青くしてそうだなぁ。
精霊さん達にビビってるのか騎士さん達にビビってるのかはわからないけど。
「やめよ。お前達じゃ勝てないし」
「ですが陛下!」
ヴィがため息を吐きながら告げた言葉に騎士さんが私を睨みつけながら噛みつく。
おかしいよね? 喧嘩売ったのそっちだし、買ったの精霊さん達の方だよね?
睨んでくるから睨み返しとこ。
「その辺にしときなさいな、ヤークウッド。私と同じようになるわ」
「そうじゃ、若造。死に急ぎたいのか?」
睨みつけてくる騎士さんを宥めるようにテレサさんが私と騎士さんの間に入ってきた。
ついでに揶揄うような口調のおじさん騎士も。
「ですがテレサさん! ジェフさん!」
『けんかならかうぞー』
『わんぱん、わんぱん』
『ぼくらもあばれたーい』
戦う気満々だね君達。
「ヴィ、いつまでこれ続けるの? まだ続けるんだったら精霊さんの好きにさせるけど?」
「それは困るなぁ」
ヴィは本当に困ったような顔をしていた。




