エルフ、忘れる
精霊さん達に魔法を破壊されてから三日。
私はすごく無気力だった。
だって珍しく私が力を入れて作った魔法だったんだから。
壊れたら流石にしばらく何もする気がないってものよ。
それにしても破壊された時の事は覚えてるんだけどその後一日の記憶が全くないんだよね。
気が付いたらベッドで寝てたし。
あまりのショックで寝込んだのかな?
そして城の中がとんでもなく静かなんだよ。
精霊さん達が全く暴れてない。
かと言って精霊さん達の姿が全くないわけじゃない。暴れてはいないけど楽しそうに遊んではいる。ソラウがいた時がこんな感じだったかな。
そして一番妙なのは精霊さん達の中には私を見ると肩を震わせる精霊さんの姿もあるんだよね。
まるで怖い物を見るみたいに。
悲鳴を上げて逃げる精霊さんもいれば曲がり角でばったり遭遇して私を認識した瞬間、白目を剥いて気絶したりする精霊さんもいた。
周りにいる精霊さん達に聞いてみたりしたけど、
『ぼくたちのくちからはいえない』
『きずぐちにしおをぬりつけるようなこういはできない!』
『しらないほうがしあわせー』
なんて言って教えてくれないんだよね。
そう言われると凄く気になる。
そんなわけでイーリンスにも聞くことにしたわけだけど、
『記憶がないの? あれだけの事をしておいて?』
「イルゼ様、本当に覚えていないのですか?」
「イルゼさまマジ?」
イーリンスの部屋に行って尋ねたら共に仕事をしていたらしいアンとトロワにもじっとりしとした呆れたような目線で出迎えられた。
一体、私は何をしたんだろう……
記憶がないというのが余計に怖いし。
『まあ、怒ってたからかしらね』
「イルゼ様の怒りはよくわかりましたし……」
「精霊達も泣いてたしね」
「はぁ……」
なるほど、私は怒りすぎて記憶が飛んでたのか。
そういえば昔も一回ソラウに怒った時も記憶がなくなったっけ?
あの時は気が付いたらソラウの着てるドレスはボロボロだったし髪も何かに切られたみたいになってたなぁ。
『こ、これくらいで許してやるのじゃ!』とかソラウが言ってた気がする。
あの時も何があったんだろう? そういえばあの時のソラウも体が震えてた気がする。
『そういえばイルゼ、あなた宛に皇帝から手紙が来てるわ』
話を変えるようにイーリンスが何かを見せてきた。
イーリンスの手にはなんだか煌びやかな紙があった。
「ん? 仕事ならしないよ?」
そのためにイーリンスに飛んでくる書類を押し付けてるんだから。
私は仕事なんてする気は微塵もありません。
『あなたに仕事ができるなんて思ってないわ。部屋の掃除に風魔法を使って半壊させるようなあなたには……』
「豪快だったね!」
トロワは爆笑してます。
あれは魔法の制御に失敗しただけだし!
部屋の埃やゴミを風で集めて外に出そうとしたら部屋で竜巻が発生しただけだし!
『とりあえず、帝国の皇帝から手紙がきてるわ。内容は簡単に言えば客人として遊びにこないかということみたいね』
遊びなら大歓迎だね!




