高位精霊、疑う
『いやーさすがパイセンの契約者っス。最高に面白いっス』
「何が楽しかったのかわからない」
何がいいのかテナールは親指を立てていい笑顔をこちらに向けてきます。
私は若干不機嫌になりつつも新たに精霊さんが持ってきた普通のソファーへと恐る恐る腰掛けます。
精霊さん達ならドッキリになるような椅子を持ってきてもおかしくないし。それも意外と笑えないやつ。
ちょっと前にアンとトロワが休憩に使うソファーが勝手に改造されてて、座ったアンとトロワが椅子に天井まで押し上げられて首が天井に突き刺さってたの見たしね。
『イーちゃんも確実に魔力の使い方が上手くなってるし大精霊に決定されるのも近いんじゃないっスか?』
『いえ、大精霊の、ソラウ様の実力を見た後では小手先の技術にしか見えなくなりました』
テナールは楽しそうにソファーに座ってるけど何故かイーリンスは落ち込んでる。
んん? 落ち込むような事あった?
『あー、パイセンは攻撃系特化っスからね。七大精霊の中でもかなりの火力っスからあんまり気にしないほうがいいっス』
「ソラウってそんなに強いの?」
ソラウが強いっていうのは確かにわかる。
でも、私はソラウが大精霊の中でどれくらい強いかってのをイマイチ認識出来てないんだよね。
というか七大精霊とかいるんだ。
『うーん、パイセンはかなり強いっスよ? さっきも言ったっスけど七大精霊の中では上位を争うっす』
とてもそんな強そうな大精霊には見えないんだけど……あ、普段の言動のせいか。
『まあ実際の所、七大精霊は戦闘力自体はそれなりにあるっス。ただ、戦闘力特化の大精霊というのが三人いるのでその三人だけが別格という扱いになってるだけってことっス』
「ふーん」
ソラウ、めっちゃ強いんじゃん。ちょっと感心。
『それで? テナール様。今回はどういったご用件で?』
『やだなぁ、未来の後輩の様子を見にきただけっスよ?』
胡散臭い。にやにやと笑っているのがまた嘘っぽい。
それはイーリンスも同じように感じたようで疑わしげな視線を送ってるし。
『こう言ってはなんですが、大精霊の中でも一番の愉快犯であるあなたが何の理由もなくここに姿を見せるとは思いません』
「愉快犯?」
『ええ、テナール様はこの百年間の精霊界性格ランキングで一番性格が悪い精霊として不動の一位を欲しいがままにしています』
な、なんて嫌なランキングなの……
そんなのにランキング入りなんてしたくもないんだけど。それの不動の一位って。
『テナール様は基本的に楽しそうな事を目にすると手を出して引っ掻き回して混沌とした場を外からお菓子を食べて笑いながら見ているような方なんですから』
「さ、最悪だ!」
そんな性格が悪いのが大精霊でいいの⁉︎
『全く失礼な言い方っスね! そんなことするわけないじゃないっスか!』
心外っス!とテナールが怒ってる。
そうだよね。いくら性格が悪いとそんな酷いこと……
『お菓子どころか指差しながら夕食とお酒を笑いながら飲み食いするだけっスよ!』
余計にたちが悪かった!




