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精霊樹のエルフは働かない  作者: るーるー
魔国侵攻?編
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魔王、殴りつける

 

『んん? あれは獅子族の獣人じゃな』


 ソラウも私の視線の先に気付いたのか追うようにして見ていた。


「魔王軍の幹部らしい」

『らしいってお主のとこのじゃろが』

「そうね」


 なんで呆れられるような顔をされてるのかわからない。

 そもそも私は自分から魔王なんて名乗った事もないし、魔王軍なんて物も作った記憶はない。

 なんかいつの間にか人が集まって魔王にされちゃっただけだし。

 大体、サロメディスがやってたし。

 だから魔王軍と言っても私が名前を覚えてる人数はすごい少ないし。


『あの獅子族の事は知っとるのか?』

「知ってる」


 ソラウに指差された獅子族、ターナトスは飛んでくるろけっとらんちゃーの魔法を武器で薙ぎ払ったり、打ち返したりしながら前進してきてる。

 今まで戦いを圧倒的に優位に進めていた精霊さん達だけど、ろけっとらんちゃーの魔法が然程効果が見られないことに少しばかり動揺しているようだった。

 それでも近接武器を手にした精霊さん達が筋力などで勝る獣人相手に全く遅れを取ることなく闘っているのに私は凄く感心している。魔法の効きにくいスケルトンには苦戦してるみたいだけど。


『ふむ、あやつもなかなか強いがお主ほどではないのぅ』


 武器を手に飛び掛かっていく精霊さん達を軽々と吹き飛ばしているターナトスを見ているらしいソラウが何故かガッカリしたような声音で呟いてる。


 まあ、一応幹部らしいしそれなりには強いはずよね。私からしたら幹部の強さはさほど変わらないけど。


『そらうさまぁ』

『あいつかたい』

『あいつきれなぃぃ』

『あいつもえなーい』

『すけるとんにもまほうきかなーい』


 ターナトスに攻撃を加えていたらしい精霊さん達がソラウの周りを飛び回りながら抗議? というか現状報告をしている。


『火力が足りてないんじゃろ? 魔法の集中砲火を浴びせればいいじゃろが』

『ちがうのー』

『あいつのよろい、なんかまりょくのこもったのをじゃっかんはじくの』

『ほう?』


 ああ、そう言えばターナトスは魔法を弾く鎧を持ってたっけ。

 私は魔法なんて使わないからあんまり意識してなかった。いつも一瞬で近づいて腹に一撃叩き込んだら終わるし。


『魔法喰らいの鎧かのぅ。あれもなかなかにレアなものじゃが完璧な防御ではないはずじゃ』


 そう呟くとソラウは片手を頭上へと掲げる。

 すると掌に魔力が集まってるのがわかる。それもかなりの量。

 以前、なんとなくサロメディスがスケルトンを大量に作り出す魔法を使っている所を見た事があるけど、その時に使っていた魔力よりも断然多い。


 巨大な魔力はいつの間に美しい巨大な氷の槍へと姿を変えていた。


『穿て』


 ソラウが軽い声と共に掲げていた手を振り下ろした。

 そして氷の槍はソラウの手から轟音を上げ、ターナトスへと向かって放たれた。


 放たれた氷の槍は前方にある物、精霊さんや獣人、スケルトンなどを軒並み平等に軽々と吹き飛ばし、障害物など存在しないかのように直進していき、デカイ剣を振り回しているターナトスへと直撃し、爆散する。


 爆発により巻き起こるのは今まで使われていたろけっとらんちゃーの魔法のような火柱ではなく冷気だ。

 一瞬にして周りを凍り付かせ、周囲を氷の彫刻のみが存在を許される白い世界へと変貌させていく。

 それは直撃を受けたらしいターナトスも例外じゃない。いや、辛うじて反応したのか氷漬けにはならなかったみたい。


『すごー』

『まっしろ』

『かきごおりつくれるね!』


 精霊さん達もソラウが引き起こした事を見て感心したような声を上げているみたい。一部、感心より食欲が勝ってるような物言いだったけど。


 ただ、ターナトスは氷漬けにはならなかったみたいだけど体の半分は凍りついてた。


『これくらいの威力なら魔力喰らいの鎧も意味はないんじゃ。わかったかのぅ?』

『うう、できるきがしなぃ』

『せめてちゅういせいれいにならないとむりぃ』

『これがこえられないかべ……』


 ソラウが何でもないように言いながら簡単に行った光景を見た精霊さん達はぶつぶつと文句を言いながら見て分かるほどに落ち込んでいたけどソラウを見る目には尊敬の色があった。

 ……なんだか気に入らない。

 私も精霊さん達に尊敬の目で見られたい!


「あれくらい私もできる。むしろ跡形も残さない」

『『『え?』』』


 間抜けな声を上げる精霊さん達を放って私はソラウに対抗するように拳を作るとそこへと魔力を込める。

 魔力が込められた腕はの魔力の色である黒色へと変わり、私の腕は肩まで漆黒に染まる。


『ちょ、待つのじ……』

黒腕こくわん


 私は高位の魔法なんて使える魔力量はない。

 だから普通に腕に魔力を集めて殴りつける。私の濃い魔力はそれだけで必殺の一撃になるらしく、魔法すら砕く。

 私が腕を振るったことによって腕に集まっていた漆黒の魔力が巨大な拳の形へと変わり、解放される。前方の先ほどソラウが放った氷の槍が作り上げた白い世界の範囲よりも遥かに広範囲に破壊の爪痕を刻み込んでいく。


『のぎゃぁぁぁ!』

『そらうさまのよりえぐいぃ!』

「ぬおおおおお!」


 当然、その進路上にいた精霊さんも吹き飛ぶ。魔王軍側はすでに吹き飛ぶ程立ってる姿は見られない。というか息絶え絶えと言った様子。スケルトンとか砕けてるし。

 唯一無事と言っていいかわからないターナトスはというと身体の半分が凍りついていたけど無理やり体を動かしたのか黒碗の破壊範囲から逃れてた。

 目標を見失った黒碗は地面を砕きながら突き進み、魔砲が大量に設置されている壁へと瞬く間に迫り、魔力壁なんて存在しないように容易く破って城壁の一角を粉砕した。

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