精霊、焦げる
「こう?」
『ちがーう』
『もっとしゅばっと』
『すばやくー』
私は精霊さん達と共に精霊さんが新たに作ったという魔法をひたすらに城壁に向かい放っていた。
このろけっとらんちゃーとかいう魔法は凄い。
いや、そもそも魔法を作るというのが普通の生き物にはかなり難しい物だけど此処とは違い世界の武器を模倣したらしいこの魔法は凄すぎる。
原理としては魔砲に近いんだけどこの魔法の利点は魔砲のようにその砲台を移動させる必要がない。
ろけっとらんちゃーという魔法を使うことにより筒を作り上げ、そこに具現化した魔法の弾を込めて放つ。
これだけ見ると手間が掛かるだけの様に聞こえるんだけど、込める弾というのが魔法なわけで幾らでも巨大な魔力が込めれる。
魔砲なら壊れるくらいの魔力であってもろけっとらんちゃーの魔法で作られた筒もまた魔力なわけだから壊れてもまたろけっとらんちゃーの魔法を使えばいい。
こんな魔法を習得した兵が並べば今ある戦争の様子がガラリと変わる事が間違いない。
『うてうてー』
『あなぼこにしてくれるー』
そんな戦略を一変させるような魔法を精霊さん達は乱射している。
すでに突撃していた精霊さん達も新しい魔法に興味を惹かれたのか後方まで下がってきていて他の精霊同様に教えてもらったろけっとらんちゃーを肩に担いでは魔法を放つたびに嬉しそうな悲鳴を上げていた。
ちなみに私も思ったより威力の出るろけっとらんちゃーの魔法に興奮して乱射していた。
私の魔力総量はとんでもなく少ない。そのかわり魔力の圧縮率を上げてるわけだから密度が凄いんだけど。
だけどろけっとらんちゃーの魔法を撃つことはできない。そんなに魔力ないし、でも筒というか砲身を作る事はできる。
そこに精霊さん達が楽しげに魔法の弾を入れてくれるから魔力総量が少ない私でも魔法が打ち放題となってる。
『しゃおのつくるつつこわれないね』
『もっとまりょくこめよう』
私の圧縮した魔力により作られた砲身は精霊さん達のかなりの量の魔法の弾を入れても全く壊れる様子が見られない。
だから精霊さん達もどんどん無茶な魔力を注いだ弾を入れてくる。
当然、込められた魔力が増えた弾は恐ろしいほどの威力を発揮している。
「ファイヤー」
『ふぁいやー』
私と精霊さんの声と同時に爆音と爆炎が巻き上がる。
それは一瞬にして魔力壁を突き破り、中を爆破、さらには余力で周囲の城壁に焦げ目をつけるくらいだ。
『よし、いける!』
『つぎのいちげきでかべこわせる!』
精霊さん達が戦果を確認してハイタッチする姿は非常に愛らしい。
だけどそう簡単にはいかないだろうなぁ。
『ふむ、避けんとまずいのぅ』
「うん」
ソラウの言い分に私も頷き、僅かに体を動かす。
直後に黒く太い閃光が先程まで私達が立っていた場を薙いだ。
『のわぁぁぁぁ!』
『やーらーれーたー』
私とソラウは来るのがわかってたから当たらない位置へと移動していたわけだけど他の精霊さん達は違う。
ろけっとらんちゃーによる成果の爆炎が上がるのをみて楽しそうにハイタッチをしていたり踊っていた精霊さん達は軒並み黒い閃光に貫かれて真っ黒焦げ。煙を上げて倒れこんでた。
『なんじゃあれは?』
ソラウが黒焦げになった精霊さん達などは無視して地面から上がる煙の向こうを凝視していた。
私の場合はそんなに凝視しなくてもわかる。
だってサロメディスがすごい自慢してたし。
「あれは魔砲」
『ほほう!』
ソラウの眼が楽しげに光った気がした。
そしてその煙の中から城壁の上にズラっと並べられた魔砲から再び黒い閃光が放たれると同時に幾つもの影が飛び出していたのを私の眼は捉えていた。




