エルフ、察する
城が僅かに揺れた気がする。
長く続いていた魔法の矢による攻撃は黒騎士にお願いしてからしばらくしてぱったりと止まって凄く静かになってるわけで。
そんなわけで折角だから外の日当たりの良い場所に置いてあるロッキングチェアに座って微睡んでいた私だけど僅かに感じる揺れに瞳を開ける。
私の視線の先にはカラミティを見上げながらションボリしている精霊さん達が多数見える。
どう見ても精霊さん達は暴れ足りないというか不満げだったけどそこは仕方ない。
どうしてもまだ暴れたいというならイーリンスを説得してくればいい。
説得できるとは思わないし私は手伝わないけどね。だって怖いし。
『はーもうおわりかぁ』
『まだせいのうてすとおわってないのに』
カラミティに入っていたらしい精霊さん達が出てきては不満を呟いてる。
飛んでくる魔法の矢がなくなったから暇になったみたい。
それにしても、あんな性能のカラミティ十体が攻め込んだら国なんてすぐ滅びるんじゃないかな?
いつか暇つぶしに国を滅ぼすなんて事を言わないでほしい。暇つぶしに帝国とか行かないように言っとかないと。
いや、潰すのは良いのよ? 作ったものはいつか壊れるんだから。
でもね、今国を潰されなんかしたら私のせいになるじゃない? それは面倒だからやめてほしい。
ただでさえ私の周りは過剰な攻撃力を持った存在ばかりがいるし。
私はただダラけたいだけだというのに!
『いるぜー』
『ぼくたちもいきたーい』
『あばれたらなーい』
「まだやりたりないの?」
どうしてこの子たちは好戦的なのかなぁ。
ソラウの影響?
いや、基本的に子供だから仕方ないのか。
「じゃあ、好きにして良いよ。こっちにとばっちりが来ないようにしてよ?」
行くならイーリンスにバレないように行ったらいい。
バレたらお仕置き部屋行きは確定だろうけどね。
『わーい』
『えんそくだぁ』
でもそこまで深く考えてない精霊さん達は嬉しそうにくるくると宙を回って喜びを全身で表現してたりする。なんだろう、罪悪感が少し、ほんの少し湧くよ。
それにしても遠足?
過剰な武器を持っていくのが遠足だったかな?
ま、まぁ楽しそうだからいっか。
『つまり追撃戦じゃ! あ、指揮官は我な!』
なんか意気揚々と手を挙げてソラウが立候補してる。
そんなソラウに精霊さん達からブーイングが上がる。
『ぶーぶー』
『そらうさまがしきかん?』
『ないわー』
『むのうなしきかんはぶかをころすんだよー?』
『お主ら本当に我に対して容赦ないのぅ!』
ギャーギャーと騒がしくしながらも楽しそうにソラウと精霊さん達は遠足という名の追撃戦の準備をし始めているわけなんだけど……
正直、黒騎士一人だけでなんとかなる気がするんだけどなぁ。
「さっきまで行く気なかったのにどうしたの?」
『……イーリンスの奴がずっとぶつぶつ言っとるから怖いんじゃ』
そりゃ怖い。
私もそんな状態なら近くにはいたくないな。
「ほどほどにしといてよ? 本気でやったらこの森なんか消しとんじゃうんだから」
『わかっとるわかっとる』
絶対にちゃんと聞いてないよね。
まぁ、面倒だから特に何も言わないけどさ。
精霊さん達の様子を見れば、いつの間にか小さなリュックらしき物を背負ってお喋りしてた。
『みてみてーこれあたらしくつくったー』
『いかすー』
『そのひつじがらかわいい』
『ねこだしー』
なんかリュックにはかなり細かい刺繍までしてある。
何、君達。リュックを作っただけじゃなくて刺繍までできるの? 多芸すぎない?
『よし、それではいくぞ!』
『『『はーい』』』
遠足という追撃戦を開始するにはあまりにも陽気すぎる声が精霊樹の周りに響いてた。
面倒な気配を察した私だけど眠気が勝ったので夢の世界に旅立つことにした。




