エルフ、ビビる
「長いなぁ、飽きてきたんだけど」
『それは我もじゃ』
「きゅぅぅ」
よくわからない襲撃が始まって既に三時間が経っていた。
その間、ひたすらに魔法の弓矢は城に向かって雨のように降り注ぎ続けた。
その全てを精霊さん達は上手に量産したカラミティを操り、撃墜していた。そのため城どころか森にも被害は全くない。
炎魔法の弓矢とか森に当たったらいくら燃えにくい植物が多いこの森でも小さな火事くらいは起こりそうだから非常に助かってる。
まあ、城は揺れて私の胸はやっぱり揺れないわけだけどね!
私にはよくわからないけどここまでひたすらに攻撃を続けるというのが城を攻める時には必要なものなんだろうか?
「弓矢で攻撃ってこんなに続くものなの?」
『我の知る限りでは弓矢が決定打になるような攻城戦はないかのぅ。じゃが撃たれているのは唯の矢ではなく魔法の矢じゃ。普通の城ならこれだけの魔法の矢を射られ続けたら落ちるじゃろうな』
「そこは実感が湧かないなぁ」
だって馬鹿みたいに撃ってきてるけど全部精霊さん達に撃ち落とされてるし。当たって無い物の威力はわからないし。
いや、だからと言って当てられたいわけじゃないんだけど。
『あれが当たったところで城がもう少し揺れるくらいじゃ。それにここには我やイーリンスがおるから致命的な事になる事はあるまい』
「きゅいきゅい!」
『そうじゃな、小粒もおるって! 噛みつくでないわ! ちょっと忘れておっただけじゃろな!』
忘れられていたことに腹を立てたらしいフィズがソラウの足へと噛み付いていた。
『じゃがこの物量は異常じゃ。効かぬとはいえ魔法の矢というのはかなりのコストがかかる。それをこんな湯水のように使うとは……』
『うるさくて仕事が進まないじゃない!』
ソラウが真剣な顔で考えこんでいると大声と共に部屋の扉が吹き飛び、ソラウの顔を掠めるようにして壁に突き刺さった。
『な、なんじゃ?』
いきなり飛んできた扉にソラウがかなりビビってた。いや、私ならビビるだけじゃ済まない気がする。
私とソラウ、それにフィズが扉がなくなった入り口の方へと視線を向ける。
そこには脚を振り上げたままの姿勢で固まるイーリンスがいた。
ゆっくりと足を下ろしてこちらに向かって歩いてくるイーリンスを見ると目の下に隈ができてるし……
『なんなんですか! この馬鹿みたいな爆音は⁉︎ いつまで続ける気です!』
怒りの形相でイーリンスが怒鳴った。
その声には無意識に魔力が込められてるのか声が響くたびにビリビリと空気が揺れる。
部屋の外や中で戦闘に参加していない精霊さん達、その中でもあまり強くないであろう精霊さん達はイーリンスの怒りの魔力に当てられたのか白目を剥いて倒れてたりしてる。
め、めっちゃ怒ってる!
多分、フィズもソラウもビビりながらそう思ったと思う。




