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魔王は隠居をやめる  作者: 春アントール
世界が揺らぐ
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プレゼント

「……お、来たか」


椅子から立ち上がりドアの前へ向かう。


「?誰が来たの?」


ソファーから顔を覗かせ、聞いてくるフブキ。


「あぁ、フブキ、おまえの知ってるやつだ」


「まぁ、そうだな、久しぶりだなネーヴェの娘」


「ナイリーさん!?」


玄関のドアを開き、骸骨が顔を覗かせる。


今日の俺はローブをつけていない、もう無いのだからな。


「……もってこい」


指を動かしてアンデッドの1人を寄せる。


「……やっぱり、もうできていたか」


「これでもかなりギリギリだがな、なれない形にするのは苦労したぞ

ましてや3日で仕上げろとは……無理を言う」


黒い箱をナイリーが持ち、俺がその蓋を開ける。



「まぁ、プレゼントだ、受け取ってくれ、フブキ」


白と青を基調にし、縁の方には赤い椿の花。

……見るのは初めてだが、綺麗な和服だ。


「……え?これ私に?」


「あぁ、世界にたった一つの最高の鎧とも言える

材料はかなり沢山あるから説明は省くが、とりあえず、俺のローブと同じ材料だ」


「!……ありがとう……!」


「あと、前に見た固有魔法、アレ、角を氷で、自分の魔力で十分に制御できていた

故に、もう封魔の指輪は必要ないと言える……

要は、合格だ、もう十分に強い、20歳を超えたばかりにしては十二分強いさ」


「……うん!」


「冒険者、登録はもうしてただろ?なら、がんばれ、俺たちのことは別に気にしなかていいから」


「……うん、ありがと」


「あぁ、どういたしまして……あ、そうだ、これをあげるのを忘れてたよ」


「?他にもなにかくれるの?」


「うん、ちょっと待ってね……ふっ!ぬぬぬ!」


角を握り力を入れる、氷みたいな角なのに、めちゃくちゃに硬い。


「わわわっ!?ちょっと何してるの!?父さん」


「ふわぁあー……おはよ、何しとるん?

ってかナイリー、あんたの顔朝から見たら目ェ覚めるな?」


「随分な寝坊助だな、ツバキ」


「おはようツバキ、今ちょっとプレゼントあげようとしてるんだ……ふっ!意外と固くてさ……ぐぬぬっ!」


「な、なんで角折ろうとしてるの!?」


「な、なんでって……フブキ、ランバートに習わなかったか?

『魔族などが、人間よりも優れている理由、それは魔力機関の差です。

魔族や鬼族にある角は魔力を保管しておくだけでなく、その魔力を高密度、高純度のものとする特殊な力があります、ましてや、身体能力に魔力は大きく影響をするため、それらが優れている魔族は相対的に優れているのです』……みたいな感じで」


「だ、大体あってるよ?でも、折ってどうするの?」


「?あぁ、そうか、ツバキ、お前教えてないな?」


「あー……忘れとったわ」


「え?何が?」


「魔族って言う種族は、自分の一番弟子や、自分の子孫に角を渡す風習?があるんだよ

その角の中の魔力を、いざと言う時に引き出して、そしてそいつの助けになってもらいたい一心で角を託す

その角の魔力が、その師匠や、親が死んでも尚、弟子や子を支えてくれる、助けてくれる

そんなお守りのような……魔法具のようなものだ」


「……そんな風習があるんだ」


「あ、鬼にもあるで、形は違うけど、角を体に取り込ませるってやつやで」


ん?なんだそれは?


「……何それ?」


「ん?ネーヴェ知らんかったか?」


「し、知らねぇよ!?なんなんだよそれ!?」


「な、何って聞かれても……いつやったかなー?子供の頃に見たなんかの本にあったんやけどなー?

その本が置いてある場所が、賊かなにかに襲われて焼き払われたんやっけか?」


「……内容は?」


「角を取り込む?なんかそんな感じ

とりあえず体に取り込むんだとか」


「……へぇ……やり方だけ教えて貰うといい、いつか使うかもだからな」


「う、うん、お父さんはいいの?」


「俺はいいよ……ふんっぬ!」


思いっきり力を込めでバキンと折る。


「よし、俺が生まれてきてからずっとため続けていた魔力……持つか?」


「う、うん」


そう言って触れると……フブキはそれを地面に落としてしまった。


「あ、ごめ……っ!?」


「危なっ!?」


地面に落ちた氷の角は家を凍らせかけた……


「高密度の魔力……恐ろしいな

……まぁ、上手く使ってくれよ?」


「ウチも、またそのうちあげるからな」


「あ、ありがとう?」

今回は少し長めでごめんなさい。


フブキはかなりのキーキャラクターですからね。

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