フェル&ガウラ対メーラル&ランバート ②
「……霧……?」
「初めてみるね!」
「それじゃ、久しぶり前衛の方、務めさせていただきます」
「はい、頼みましたよ」
前方に大きく詰める。
先程までは様子見の牽制……ここからは吸血鬼という種の恐ろしさを教えてあげましょう。
土を大きくまきあげながら正面に突っ込む。
「うひゃあ!?先生らしくない荒々しさ!」
ナイフを2つ構え、時に投つける。
巻き上がった土は煙幕として役に立ち……そしてその土を切りながら矢が飛んでくる。
「……ぐっ!……吸血鬼は止まりませんよ!」
脇腹に深深と刺さった矢を引き抜き、放り投げる。
ぐらりと体制は崩れてしまった。
だが、吸血鬼の圧倒的筋力、再生力……そして……
「隙ありっ!」
ぐらりと崩れた体を引き裂かんと爪が迫る……そして空振る。
「んんっ!?」
当たるその既で体を切りにすることで回避をする。
「『世界の悪意』そして……危ないですね」
また、弓が飛んでくる、こめかみを狙うのではなく私の手を狙う……
「っていうかメーラルさん!?」
そう、本来ならとめてくれているはずなんですけど……
「め、めーらるさーん?」
そっぽを向いている。
「げ、幻術の応用ですかね?」
「ご明察」
短く一言、そしてまた矢が飛んでくる。
うーむ……チームプレイを相手に進めているのに自分が1人で突っ込むのはなんか行けない気がしますが……
「ま、いいですよね」
吹っ切れよう……とりあえず、あの幻術が厄介ですからね。
ナイフを投げる……結構な速度で投げたナイフを軽く避ける。
「そっちに避けるのは得策じゃありませんよ?」
「父上っ!?」
「メーラルさん!」
やはり、かかったフリですか……
「それでは、ここまでです」
ナタを振り下ろし袈裟懸け……また幻術か。
「随分と警戒している……」
「フェル君本体の場所はわかりますか?」
「気配はしません……どうやって探しましょうか?」
「私を忘れちゃダメだよっ!」
「忘れてませんよっ!」
そう言って蹴りをお見舞する……地面に爪をさして減速ですか。
「いい判断……っぐ!?」
地面から生えてきた爪に左腕と左足を奪われた。
「大丈夫ですか!?」
「……うーん……大丈夫では無いかもです……」
「よしっ!今!」
「承知っ!」
フェル君……いい判断だと思いますよ。
でも、このスパンの幻術……これはもう本体の打った矢でしょうね。
「そこですか」
投げナイフを矢の飛んできた方向に投げつける……
「血の匂い……当たりました」
「では、自分はガウラを倒すとします」
光が増していく……
「では、私は血の匂いを頼りに追いかけるとしますよ」
もう血は止まっている
片足片腕でも十分に追いかけて倒すことは出来る。
「……今度こそ、終わりです」
そして、ついに背後まで迫り、ナイフを刺す。
「っ!不覚……!」
体が光の粒になる……この結界の外に行ったのでしょうね。
「メーラルさん、そっちはどうですか?」
「矢を隠れて打って、頭を撃ち抜いて終わりです」
「そうですか、流石はメーラルさん、お強いですね」
「ランバート殿こそ、自分の倅に速さで追いつくなんて、種族以前にやはり相当の鍛錬を積んでいるのでしょう?」
「……まぁ、どうでしょうね?」




