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魔王は隠居をやめる  作者: 春アントール
世界が揺らぐ
94/100

フェル&ガウラ対メーラル&ランバート ②

「……霧……?」


「初めてみるね!」


「それじゃ、久しぶり前衛の方、務めさせていただきます」


「はい、頼みましたよ」


前方に大きく詰める。

先程までは様子見の牽制……ここからは吸血鬼という種の恐ろしさを教えてあげましょう。


土を大きくまきあげながら正面に突っ込む。


「うひゃあ!?先生らしくない荒々しさ!」


ナイフを2つ構え、時に投つける。


巻き上がった土は煙幕として役に立ち……そしてその土を切りながら矢が飛んでくる。


「……ぐっ!……吸血鬼は止まりませんよ!」


脇腹に深深と刺さった矢を引き抜き、放り投げる。


ぐらりと体制は崩れてしまった。


だが、吸血鬼の圧倒的筋力、再生力……そして……


「隙ありっ!」


ぐらりと崩れた体を引き裂かんと爪が迫る……そして空振る。


「んんっ!?」


当たるその既で体を切りにすることで回避をする。


「『世界の悪意(ワールドグラッジ)』そして……危ないですね」


また、弓が飛んでくる、こめかみを狙うのではなく私の手を狙う……


「っていうかメーラルさん!?」


そう、本来ならとめてくれているはずなんですけど……


「め、めーらるさーん?」


そっぽを向いている。


「げ、幻術の応用ですかね?」


「ご明察」


短く一言、そしてまた矢が飛んでくる。


うーむ……チームプレイを相手に進めているのに自分が1人で突っ込むのはなんか行けない気がしますが……


「ま、いいですよね」


吹っ切れよう……とりあえず、あの幻術が厄介ですからね。


ナイフを投げる……結構な速度で投げたナイフを軽く避ける。


「そっちに避けるのは得策じゃありませんよ?」


「父上っ!?」


「メーラルさん!」


やはり、かかったフリですか……


「それでは、ここまでです」


ナタを振り下ろし袈裟懸け……また幻術か。


「随分と警戒している……」


「フェル君本体の場所はわかりますか?」


「気配はしません……どうやって探しましょうか?」


「私を忘れちゃダメだよっ!」


「忘れてませんよっ!」


そう言って蹴りをお見舞する……地面に爪をさして減速ですか。


「いい判断……っぐ!?」


地面から生えてきた爪に左腕と左足を奪われた。


「大丈夫ですか!?」


「……うーん……大丈夫では無いかもです……」


「よしっ!今!」


「承知っ!」


フェル君……いい判断だと思いますよ。


でも、このスパンの幻術……これはもう本体の打った矢でしょうね。


「そこですか」


投げナイフを矢の飛んできた方向に投げつける……


「血の匂い……当たりました」


「では、自分はガウラを倒すとします」


光が増していく……


「では、私は血の匂いを頼りに追いかけるとしますよ」


もう血は止まっている

片足片腕でも十分に追いかけて倒すことは出来る。


「……今度こそ、終わりです」


そして、ついに背後まで迫り、ナイフを刺す。


「っ!不覚……!」


体が光の粒になる……この結界の外に行ったのでしょうね。


「メーラルさん、そっちはどうですか?」


「矢を隠れて打って、頭を撃ち抜いて終わりです」


「そうですか、流石はメーラルさん、お強いですね」


「ランバート殿こそ、自分の倅に速さで追いつくなんて、種族以前にやはり相当の鍛錬を積んでいるのでしょう?」


「……まぁ、どうでしょうね?」

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