氷魔王 稽古開始
「……よくぞ上がってきたな、2人とも」
魔王時代……フューチと戦っていた頃のように振る舞う。
「うわぁ!フブキちゃんのお父さん強そうだねぇ!」
「……が、ガウちゃん……戦いに集中だよ」
「もっちろん!」
ガウちゃん……ガウラちゃんは狼の獣人。
狼の獣人は確か……鼻と耳がいいんだったか?
あと獣人特有の感の良さ……何度か戦ったことはあるが本当に感がいい。
「……いよっーしー!やるぞー!」
「ネーヴェ、もう1人は?」
「あぁ、そういえばそうだったね『偽の氷像』これでいいだろう?」
「……!?フブキちゃんのお父さんが2人に……!?」
「……氷魔法の応用……!?」
「どっちかと言うと、氷魔法の境地かな?」
「そういう事だ……存分にやるといい……こっちはいくら壊してもいくらでも作り出せる」
「……いくよ、ガウちゃん!」
意を決した感じだな?
「うん!フブキちゃん」
結果から言おう……圧勝だ。
「……ま、負けた……」
「……こんなに強いんだ……フブキちゃんのお父さん……!」
エリアの外で悔しそうに顔を見合わせる2人。
「……よし、2人とも戦い方、色々覚えようか」
「……氷魔法以外も使えるんですかー?」
「もちろん……むしろ、それしか使えなかったら氷魔王なんて呼ばれる前にやられてたからね」
実際のところ、魔王になるため戦った時は氷魔法関連しか使わなかったけど……まぁ、今は色々覚えてるから誤差みたいなものだ。
「……まぁ、次の目標は俺の分身を倒すこと、だな
ところで、2人ともなんでそんなに強くなりたい?」
「将来私は騎士様になるんです!
みんなを守れるぐらい!」
「……私は冒険者になりたいの
女だからって舐められないぐらい強くなりたいの」
「ふぅむ……その意気や良し、なら、色々教えてあげるよ
特にフブキにはこの氷魔法の境地を味あわせてあげよう」
「フブキちゃんばっかりいいなぁ」
「森に住んでいる生き物でしたら、自分、教えられること沢山ありますよ?
自分の息子と一緒で良いのでしたら、お教えしましょう」
「!お願いします!」
「……センセー!2人ばっかり羨ましいー!
センセー達もおしえて!」
ナイリーも、ランバートとかなり仲がいいから時々歴史の先生としてこの国にやってくる……
不死国ハイアーの王様が先生か……まぁ、それだけあいつの望む平和になったわけだ。
「……なれば、見せてしんぜよう……この我、不死王ナイリーの力」
「あとは、吸血鬼の力も、霧になったり、凄く回復したり……」
「そういえば、ランバート、お前最近血飲んでるのか?」
「……貴方との誓い、忘れてませんよ?
あなた以外の血は15年、飲んでませんよ」
「……やっぱりか、さっきからお前……血に飢えてるからな」
「後で、吸わせてください」
「あぁ、構わん、存分に吸え」
「では、15年分いただきます」
「……すまん、大口叩いた、お手柔らかに頼む」




