決心と覚悟
「……こうなれば……これしかないかな?」
「……かもしれませんね」
「ですね、自分もそうは出来ればしたくありませんでしたが……」
苦い顔で3人が苦渋の決断を下すのはそう前のことではない……3分ほど前。
「ザクラが行方不明……つまり、俺の命の最後の頼み綱は切れたわけだ」
「……となると如何様に?」
「ですね、手は尽きたのでしょうか?」
「……ランバート……メーラル、2人とも頭がいいんだ、気付いているだろう?」
「……えぇ……まぁ?」
「……自分を氷の中に閉じ込め、そして……自らの時間を止める?」
「……まぁ、そうだな……それしかない」
「……となると……ツバキ様とはお別れですよ?」
「……あぁ、そうだな……」
「……そこまでするなんて……よっぽどあの二人が好きなんですね?」
「……大切な……家族だからな、もちろんアリスも、お前たちも大切だとも」
「……ふふっ、ありがとうございます……魔王様?」
「素直に自分は嬉しく思うぞ!
……ところで……幾年ほど眠りにつくのだ?」
「……15……かな?」
「……なるほど?なら、いつからですか?」
「1週間後」
「なら、そうしましょうか」
「うん、もうこうなれば……これしかないかな?」
「……かもしれませんね」
「ですね、自分もそうは出来ればしたくありませんでしたが……」
「……それじゃ、色々身辺整理するよ」
「……ってことだよ……ツバキ……ごめんな、また少しの間……1人にする」
「カカッ、今度はウチとフブキの2人やで……15年か……100年に比べたらしょーもないもんやわ
ええよ、待っといたる……安心し、ウチはあんたとアリスとフブキ以外愛したりせんから」
「……ふふっ、我ながらいい妻を持ったもんだな」
「100年放置しといて何を今更……」
「……うん、ごめんね」
そう謝ると、クシャッと笑いながら
「ええんやって、それよりも……あんたも、しっかり目を覚ましよ?
親が寝坊助なんか、娘に合わせる顔ないで?」
「あぁ、そうだな」
「……ってことだ、アリス……頼んだ」
「うん、任せて、ネーヴェくん」
俺たち2人には大した言葉はいらない
何故、彼女に何を任せるのか、それを伝えておけば彼女は決して投げ出したりはしない……
「……それじゃ、ネーヴェくん……バイバイ」
「?あぁ、バイバイ」
100年以上一緒にいたアリスとも別れを告げる。
ナイリーは
「ふんっ、そうか、なら、お前のそのローブをよこせ」
「ん?これをか?」
「あぁ、貴様の娘が大人になった時に……これをバラして服を作ってやろうか……とな」
「……死霊の王も焼きが回ったか?」
「なに、ただの恩返しだ」
「恩?」
「世界平和の恩返しだ」
「……そういうことなら、任せるよ」
「うむ、任せろ」
……さぁ、15年後、また会おう




