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魔王は隠居をやめる  作者: 春アントール
世界が揺らぐ
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「……なぁ、メーラル、ランバート急に呼んで悪かったな」


「いえいえ、ちょうど暇を持て余してた所ですので」


そう言いながらコーヒーを入れるランバート。


「まさか自分も呼ばれるとは思いませんでしたよ

ネーヴェ、何かあったんですか?」


メーラルも呼んで話をする。


「なぁ、2人とも……寿命、あといくつぐらいかな?」


なんの脈絡もなく俺が質問を投げかける。


「……それはまたどうして?」


「いやな?前までなら、別に死ぬのは特に怖くはなかったんだけどもさ……最近はもう少し生きたいなって思ってるんだよ」


「……それは、やはりあの娘ができたからかい?」


「それか、ツバキ様と正式に付き合ったからでしょうか?」


「両方、かな?」


「……して?寿命がいくつとは?」


「……ある程度、死期がいつかぐらい分かるだろ?

お前たち二人の目から見て、俺はあと何年だろうか?」


「わ、私はそういうの良く分かりませんね……ウェルフィンさんは?」


「それなら……少し、背中向けてください」


「?わかった」


「……『サーチライト』」


背中に手を当て、魔法を使う


「サーチライト?それって探索とかでつかう?」


魔力で作るランタンのようなものだが……?


「自分がアレンジして対象の健康状態なんかを知るのに使ってますよ

……あと……!?は、8年……でしょうか……?」


「8年か……あんまり残ってないな」


「……あと、あなたの固有スキル……もう使わない方が良いかと……」


「……ま、そうだよな……俺も感じてるよ」


「……8年ですか……」


「……辛気臭い話はここまでだ、ランバート、今日も研究だ」


「……はい!ネーヴェ様!」


「自分も少しお手伝いをしますよ」


今日も今日とて研究だ


最近はステータスが、本人の思い込みによって変化することを知った……


次はこの封魔の塊をどう加工するか……


あの二人の手記によると魔王討伐に大きく貢献したこの物質……固有スキルをも抑えるこの力……


フブキの能力がもしも俺と同じく、暴走気味な能力なら……これをあげる他ない


「……加工、どうやってしようか?」


「……この封魔の塊……自分の街にある勇者様と同じような……気配を感じますね」


「!?どういう事だ!?」


「輝石、ご存知でしょうか?」


「純度100%の魔石……だったか?」


「えぇ、恐らくそれかと

輝石は最早神の作った物質と呼んで差し支えないもの……」


「それを弄るのか……失敗出来ねぇな」


「そこは私の腕の見せどころですよ」


「……学校の先生やりながらよくやるよ、お前は」


「ふふっ、フブキ様が入学するのを楽しみに待ってますよ?」


「……あぁ、そうだな」

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