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魔王は隠居をやめる  作者: 春アントール
ウェイパー盗賊団
79/100

残したもの

「……なるほど……そうですか」


新聞を片手に呟く村長。


普段は飲まないお酒を片手に新聞を読む……

でかでかとかかれた文字は

『勇者が生還、魔王討伐に成功!』


「クロンさん……あなたの言うとおりじゃないですか」


腰を上げ、彼らの家の鍵を使い、中に入り、机の上を見る。


ウェイパー盗賊団総勢50名

彼らの書き残した手紙が机の上にばらまかれている


ゴミ箱にはミスをしたのか、くしゃくしゃの紙でいっぱいだ。


ウェイパーさんの部屋には紙が4枚


1人1枚のようだ


「……この4枚とも……ふふっ、マインのための手紙ですか……」


4枚の紙を取り、マインに渡す。


「……やっぱり……死んじゃったんですか?」


「新聞には何も書いていないからから分からないけど、彼には『1ヶ月しても帰ってこなかったら渡しておいて』と言われてるからね」


「……わかりました、ありがとうございます」


べこりと頭を下げ、紙を片手に家へ帰る


「……クロンさん……ありがとうございました」


ただただ空に呟く。




「……読もっかな……手紙」


まずはグゥェルさんからかな?口数少ないし気になるな


驚くほどきれいな字……達筆と言うやつだろうか?で書かれていた


『この手紙を読んでいるということは我々がいないのだろう

もしくは、俺だけが死んでいるのかもしれないな

なんにせよ、君に俺から贈る言葉は一つだけだ

君は英雄になれる素質がある

だから、頑張ってくれ

君の事だ、口数少ない俺の手紙から読んだのだろう?

なら、ここでクロンの夢は語らない……どうせアインが書いてくれてるだろうからな

マイン、頑張れ』


「……見透かされてるな……すごいなぁ!」


次はメルナさんの手紙かな


やんちゃさを彷彿とさせる急いだような字だ。


『このてがみよんでるってことは僕死んだのかな!?

だったら!僕が、僕達が死んだことを悲しんでくれないかな?

それが、僕たちの生きた証になるからさ!

それに!未来の英雄の心に残るなんて光栄だね〜!

それじゃ、バイバイ』


『バイバイ』……クロンさんが言っていた

『こういう時はバイバイじゃなくてまたね』


「悲しいよ……もちろん」


次はアインさん


整った字で彼女らしい


『この手紙が読まれてるのは……私が死んでしまったからなのね?

もしも、私以外に誰か帰ってきていたら、大好きだって伝えてね

もしも、誰も帰ってきてなかったら……みんなに大好きだって伝えてね

クロンの夢は英雄になることだったのよ?

でも、出来なかったの……優しいのよ、良くも悪くも

だから、そんなクロンだからこそ、あなたに託したのよ、頑張ってね』


「クロンさんも……英雄を……」


英雄のようなじゃなくて、英雄になりたかったんだ……

でも、あの時はあんなに否定していたのにな……


最後はクロンさんの手紙


「もう最後か……悲しいな」


そう言いながら紙を手に取り読み始める

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