幕が落ちる
「……それでは、1年間お世話になりました」
「「「「「お世話になりましたぁ!!!!」」」」」
「ふふっ、家はあのままにしておきますから、また、帰ってくる場所を……ね?」
「そうですね、つくづくありがとうございます村長さん」
「ふふっ、いいんですよ、私達も助けられましたからね
……あと私の仕事は一つだけですから」
「……ほんと、最後まですいません」
「いえいえ、今度帰ってきたら1杯やりましょうよ」
「むっ、魅力的な……是非に」
ニヤリと男ふたりがグータッチを交わす
「……じゃあな!ガキども!
次会うときはクロンさんだぞ!
勇者様よりも強いクロンさんだからな!」
「「「またねー!クロン!」」」
「クソガキ共が!またな!」
「……バイバイ……クロンさん」
「……こういう時は『バイバイ』じゃない『またね』だよ」
「……うん!またね!また帰ってきたら!私の英雄への道の手伝い、してね!」
「あぁ、またね、マインちゃん」
もう一度、頭を撫でる
和む顔のマインちゃんに流され俺の顔も和む。
「んしゃ、いってきまーす」
「はい、行ってらっしゃいませ」
「魔王城……綺麗だなー、装飾の一つ一つが高そうだ」
「……金にする気マンマンだな」
「今から報酬が楽しみだねぇー」
「そうね、私も……次はどこにお買い物に行こうかしら」
「どこでもいいさ……行きたい所へ行くといい
……俺は下でカースさんと勇者を待つ……お前たちは俺にスキルを貸すために少しここで待機してくれ」
「「「了解」」」
「なぁ、カースさん……俺たちは流石に騙せねぇ
ぜ?」
「騙す相手は選べ……こういった意味でしたか」
「かもね……まさか私情で戦い……目的が元魔王とは……」
「ふふっ、幻滅しましたか?でも、この仕事はやってもらわないと私が困ってしまいます」
「幻滅なんかするもんかよ……お互い、あんまりにいい立場じゃねぇんだ同じ穴のムジナってやつか」
「あぁ、なるほどです……なら、追加でひとつ……私の後を誰にもおわせないでください」
「死んだら無理だからね?」
「もちろん……わかってますよ」
「……カースさん……頑張ろうな」
「……えぇ、悪の美学がありますからね」
ニコリと暗い笑いの2人……死を待ち望み……死を覚悟した2人




