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魔王は隠居をやめる  作者: 春アントール
ウェイパー盗賊団
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英雄とは?

「英雄……ってさ、よく、勇者とごっちゃになっちゃうよね?」


「……た、確かにそうですね!

でも……勇者様も世界を救った英雄で……でも勇者?」


こめかみに指を当て「ムムム?」と首を傾げるマイン


「ははっ、まあ、勇者は読んで字のごとく、勇ましき者で、英雄は、そうじゃないやつだと思えばいいよ

難しいからね」


「む、そうですか?」


「うん……そういえばマインちゃんは英雄になりたいの?」


「!はい!なりたいです!」


「ふむふむ……なら、英雄になるための、俺とのお約束だ、これを守れたら君は立派な英雄さ」


両手を広げ、オーバーな身振り手振りで話すと目をきらきらさせて聞いてくれるマインちゃん


「どんなお約束ですか!?」


「……沢山あるよ?

大切な人のために、人を殺せるか?

見たくないものに立ち向かえるか?

人に嫌われたって、人を愛して生きていけるかい?

君が決めたことは最後までやり遂げること

得るために捨てることもできるかな?

本当の自分を愛してやれるかい?

自分の価値観は人に押し付けるな

くだらない嘘はつかないこと

人に笑われようと、人を笑ったりしてはダメだ

辛いことがあったら誰かに言うこと

好きな人には愛してるということ

真の英雄は傷つくことをも恐れない

正しさを自分の中で決めるんだ

間違いを間違いだと言い切るんだ

でもその間違いもまた理解するんだ

愛する人が傷つけられたら立ち向かう勇気を持てるか?

誰かを守るための優しさを持てるか?

この約束を守れるような人物が真の英雄なんだよ」


「……た、沢山ありますね!」


「そうだね、そして、コレも教えておこう

『どんなに優しいやつでも、誰かの中だと悪人だ』」


「……クロンさんも誰かの悪人なんですか?」


「?……ふはっ……当たり前だよ、盗賊団のリーダーだからね、世界の中でもトップの大悪党よ!」


少し吹き出して、誇らしげに親指を自分に向けながら高らかにそう言う。


「……私はクロンさんのことを悪人だなんて思ってないですよ?」


「そうかもね、でも、これでも俺達だって何百人と殺してきた、だから、その家族にとってはとんでもない悪党なんだよ」


「……クロンさんは、クロンさん達は私の、憧れの英雄です」


「……英……雄……か、懐かしいなぁ」


上を向き、少し昔を思い出す。



『なぁ!アイン!メルナ!グゥェル!

俺さ!この英雄譚の英雄みたいに!手に届く全てを守れるような奴になりたい!』


昔、俺たちの住んでいた『世界のゴミ捨て場(クラスターランド)』そこに流れてきた一冊の本


『勇者の盾 アルバナ ナルグ』


「なれるよ、クロンなら」


「そーだよ!それよりも!もっとすごくなるかもね!」


「……かもしれんな……」


「なにいってんだよ!お前らも一緒になるんだよ!」


そう言い、驚いた顔をする昔の3人



「……くくくっ……あーっはっはっは!」


顔に手を当て……目を隠し大笑いする


「く、クロンさん!?」


「英雄!?違うね!俺は世紀の大悪党!クロン ウェイパー!

俺が歴史に名を刻む時、それは世界をひっくり返す大事件の時、デカデカと!

誰もが忌み嫌う最っ!高の!盗賊団、団長だ

ゴミ捨て場のゴミの意地を見せてやるよ!」


ポカーンとした表情のマインちゃんに続けてこう言う。


「英雄の、最大の強敵が……この俺だ!

……はー!おもしろ!面白すぎて涙出てきた……ははっ……

……もう時間も遅いし、今日はお開きにしよっか

ごめんねマインちゃん、最後はっちゃけちゃった」


てへっ、と言った感じで別れる


「……英雄……か」


目を離し……涙が頬を伝う

英雄の約束は私の大好きなGさんの歌詞ですね


クラスターは『同種の集まりや群れ』

世界に捨てられた彼ら彼女たちにはピッタリの場所の名前ですね。

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