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魔王は隠居をやめる  作者: 春アントール
魔王城へ
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懐かしの小屋

「ここがネーヴェの住んどったところか?」


「まぁね、昔アリスと住んでたんだよ」


ベットも何も無い、殺風景な家。


最近取り壊す話も出たがとりあえず残しておいてよかった。


「それじゃ、この4人を地面において……よし」


「飯にしようか?」


「その前にあの3人も呼んだろうよ」


「そうだな……どうやって呼ぶ?」


「……うーん」


なんて首をひねっていると3人の気配を感じた


「やっぱりここか、で?魔王はどうなった?」


「ドアを開けて第一声がそれか、ナイリー?」


「その様子なら大丈夫そうだな!」


「ですね、皆さんご無事で何よりです」


「お前たちこそ、無事でよかった」


「……勇者さん達はおつかれですか?」


「ま、そうだな」


「……ご飯にしますか?」


「お!いいんか!?」


「はい!腕によりをかけて作りますよ」


「やったら頼むわ!」


そうして、元四天王と元魔王の5人で机を囲み、飯を食べる。


散々雑談を繰り返して、そして日も落ちて、それから数時間後人知れず目覚めた勇者達。


「……んんぅ?」


目を覚ましたアケガネは辺りを見回す

隣にはアンカーとヴェールさんがいた。


途切れた記憶を思い返す


「……魔王は倒せたんだな……!」


静かにガッツポーズをし、そして暗がりの机の上に、4人分の逆さの皿とコップ

火をつければ出来上がりそうな様子の鍋


「あ、起きましたか……おはようございます」


「あんたは……4天王の1人か」


名前は確か……ランバート

他の4人は寝ているな。


「えぇ、不眠のランバートですよ

まぁ、元四天王ですがね、ご飯にしますか?」


「……いや、この3人が起きてからにするよ」


そういうと月明かりに煌めく紫の瞳が細められ


「……そうですか」


と、笑みを作った


その後、1時間としないうちにみんなも起きて、ご飯を食べた。


とても美味しくてつい声が出かけたが、「しー!」と、ランバートさんに言われ、静かにした


「……あした、国に帰ります」


「まぁ、討伐の報告とかありますからね

お気をつけてくださいね」


「……はい、あ、そういえばネーヴェさんやツバキさんと仲の良かった勇者さんってどうなったんですか?」


そういうと目付きが変わった。

真剣で、怒っているような、悲しんでいるような。

とても一言では表せない入り交じった目を向けられた


「……すみません……お答えできません……」


「こ、こちらこそ失礼したよ」

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