ネクロ
全速力で上へ上がる。
あの女が……あの日、俺が追われる身になったあの日に出会った女だ。
目的はわからないが……なんにせよ倒すのみ。
「……着いた……ネクロ?だったな?」
「氷魔王……クロンさんは?」
「時期に死ぬ」
と冷たく言い放つと悔しそうな顔をして
「そうですか……ちなみにこの氷像はあなたがやったのですか?」
と聞いてきた、もちろん俺だ。
「まぁな」
「なるほど、どうりで私の4個目の傀儡か動かせないわけですね」
「……これも死んでいるのか?」
「私の幼なじみですよ、死んでしまいましたけどね
……あなたに殺されて、ですよ?」
「そうか、なるほど」
「私は、私自身は戦えません……ですけど、それでも私は彼……カルマナの夢を叶えさせてあげたくて……あなたさえ居なければ……カルマナは死ななかった!」
「……お前が以前に言っただろう?
『今の平和な世界はあなたのパワープレイの元できたのですね』って」
「えぇ、いいましたとも!」
「あれは皮肉だったわけか」
「まぁそうですね!」
「それで?どうする?俺を殺すか?」
「えぇ、今度は1人だけ……もっと精密に動かせます!」
あの時のパンチが大雑把な理由はそういうとなのか、そう思っていると氷を打ち破り襲いかかってくる。
確かに凄い……凄まじい集中力を有しているだろう……こんな風に自分以外の体を操れるなんて。
だが……強くは無い、率直な感想だが、その一言だ。
「……あまり、強くはないな」
「えぇ、そうでしょうね、彼はただの1魔族でしかありませんから」
「……?ただの1魔族が魔王になれるか?」
「……そうですね、もしも、私以外の四天王が死んでいたら……どうしますか?」
「……あの3人は既に死んでいるのか?」
「そうですね、その3人の発言力は凄まじいものですから、彼らを利用し、そこからのし上がりましたね」
「ご丁寧にどうも……で?勝てると思っているのか?」
「無理です……」
「……死に方なら選ばせてやる」
「そうですね……聖剣が未知数でしたから、それだけ見させて欲しいですね」
「そうか」
「……私の奥の手を使いますよ、私を魔王として、そこの勇者たちと戦わせてください」
「……どうだ?アケガネ、俺たちが居なくてもいいか?」
「本来の俺の仕事はそれだからな……甘えてられないよ」
「……なら、始めてくれ、俺は、なんでもないただの1魔族だ」
「ウチもやな、ただの鬼や、この魔族と同じや」
「……ありがとうございます、そしてさようなら
……クロンさん……仮を返せずごめんなさい」
小さく聞き取れない音量のつぶやきの後何か薬のようなものを飲みこんだ。
「……わぉ」
「……魔王って感じの見た目になったね」
人型であることに変わりはない……が、明らかに違う。
体の辺りに赤い模様が浮かび上がる。
「……あれ、勝てそうか?」
「ウチなら……聖剣しだいやな」
言葉を発することをせず、赤い目を光らせ、勇者を睨む。
現魔王カルマナとネクロ、そして勇者一行の戦いが始まる。




