クロン ウェイバー
「……それで?6対1で戦うのか?それは蛮勇だぞ?団長サマ」
「……蛮勇?勝機があるから戦うんだ、俺達の団はまだ終わっていないから、仕事もまだ残ってるからな」
黒い髪に黒い目、黒い服、黒い靴、黒い短剣。
「……真っ黒だな」
「一応短剣には赤い模様あるでしょ」
竜を模した柄の入った短剣をこちらに向けてトントンと足を浮かせる独特のステップを踏んでいる。
「……なぁ、ネーヴェ、あいつどんだけ強いんやろうな?」
「……わからんが、俺たちほどじゃないだろうな」
「そろそろ行くぞ?固有スキル『盗賊団の絆』」
「……?何か変わったか?」
「いーや?今は特に?」
そう言いながらも……走り、ツバキの方へ攻撃を仕掛ける。
「……っ!?早っ!?」
「ツバキ!?」
「……え?」
勇者一行の中には見えてない奴もいるかもしれない、急に異次元の加速をしてきた。
「っぐ!?ホンマにつよい!?」
ジリジリと後ろへ押されていく……そして、もう一歩後ろへ行った時、地面が沈み、足を捉えた。
「……これってさっきの奴らの……!?」
「罠のような魔法に似てるな……」
「なんでや!?くそっ、喰らえっ!」
繰り出した拳もするりと避けられる。
「……なんだあの男……ツバキさんとやりあえてる……」
「……ツバキ!俺も手伝う!『凍る命』!」
「氷!?なんだそりゃ!?」
後ろに飛び、避けられる。
「ツバキ!大丈夫か!?」
「この罠……はっ!」
足もとを殴り、砕く。
「さっきの奴のあれと同じように地面から魔力感知できへんのか!?」
「……無理だ!今しかけていないだけかもしれないが、特に何も感じない!」
「魔王さん、俺たちに何か出来ることってある?」
「……わからん、戦ってみるのも一つの手だな」
「なら、盗賊1人、俺たち4人で何とかするから、ネーヴェはさっきの魔族を追いかけてくれ」
「……なるほどな、ツバキはここに置いていくぞ」
「わかったわ、ウチもここで時間稼ぎやな」
ツバキにしては弱気な発言だ。
「……まぁ、そうだな、それじゃ、頼んだぞ」
そう言って階段の方へ走っていく。
以外にもクロンは止めようとしない。
不気味に思いながらも、階段を踏むと……
「っうぉあ!?」
地面が爆発し、後ろの方へまた振り出しへ飛ばされた。
それだけでなく、飛ばされて落ちた所にも、罠があり、体が沈んで行った。
「ネーヴェ!?大丈夫か!?」
ツバキに引っ張り出してもらう。
「ネクロさんは追わせない、それも俺の仕事のひとつだからな、こい、6人全員まとめてかかってこい」
「……つまり、お前を殺して俺たちは先へ行く」




