最後の封印
「……おはようございます、ネーヴェ様、流石にお早いですね」
「ランバート……火の番どうも助かったよ
お前は本当に助けになってくれるな」
「いえいえ、それほどでもないですよ」
「何言っているんだ、今も現に、俺が起きるタイミングを測ってもう1人分の朝飯が出来上がりつつあるだろう?」
「……まぁ、元々はアリスさんと一緒のお世話係のようなものでしたからね
コーヒー、いかがですか?」
「……お願いしようかな」
「分かりました、少々お待ちを」
「……懐かしい夢を見たんだ、お前たちと、全力でぶつかったあの日の夢を」
「奇遇ですね、私も、夢を見れる体ではありませんが……思い出していたところですよ」
「……今度こそ、上手く制御してみせる」
「えぇ、あなたならできますよ……どうぞ」
「ありがとう……美味いな」
その後、勇者も含め、皆が目を覚ました後、蒼い結晶が光る洞窟の奥へ向かう。
「これが……聖剣……!」
「懐かしいな」
「全くだ」
「そやな」
「ですね」
「……俺もだ、あいつを思い出すよ」
「……これを……抜けばいいんだな?」
「そうだ、抜くんだ」
剣を握り、引き抜く。
するりと抜けた瞬間に白い冷気が吹き出す。
「……戻ってこい……俺の能力……!」
昔は、自由に扱えた、そんな俺の能力も時間が経つと追いつけなくなってしまった……
目の前に文字が浮び上がる。
『凍る命Lv21を会得しました』
「……どうだ?ネーヴェよ」
「……大丈夫だ、抑えきれている……間違いない、俺の能力だ、俺の、俺だけの固有スキルで間違いない!」
「……そうか、なら良かった」
「悪いな、ザクラ、心配させた、さっさと潰しに行こうか」
そう言って洞窟から出ると……3つの気配を感じる。
明らかな敵意、殺意だ。
この凍った世界はどうやら自分の魔法の範囲内らしく、事細かに教えてくれる。
「……ウェルター、オルソー、カムランか……」
「……流石にバレてるか」
「無論だ……所で、お前たちはどういう立ち位置なんだ?」
「現四天王……かな」
「そうか、つまり敵か?」
「聞かなくてもわかるでしょう?」
武器を抜く3人。
「……ザクラはウェルター、カムランはナイリー、オルソーはランバートを頼んだぞ」
「あいよ」
「わかった」
「かしこまりました」
てくてくと勇者を連れて歩いていくのも馬鹿らしいな……
「ローズさん、良かったら乗ってけくれませんかね?」
「わかりました……皆さん、背中にどうぞ」
勇者一行、ツバキ、そして俺を乗せ、速攻で城へ向かう。
「……さぁ、終わらせようか」




