古き日の夢 ツバキの戦い
ネーヴェのくせにウチと同じ……ウチ以上に接近戦が強いなんて……!悔しい!」
殴り合いをしていても、防戦一方だ。
「なんで!?全然隙があらへん!?」
「……」
「そりゃあ何も言ってくれへんよな!こうなったら固有スキルを……!『怪腕 首落とし』!」
背中からもう2本、赤い腕を生み出す。
この赤いはウチの腕同じ形をしていて、この腕の5本指全てが首に触れると……首がポトリと落ちる。
結構グロテスクではあるが……まぁ、強い。
「ネーヴェ!終わらせたるわ!」
首を掴みにかかるも、もちろんかるくいなされる。
そして、そのスキをついてウチにカウンターを入れてくるけど……それはお見通しやで!
「腕多くなったん忘れたか!?」
やけどもなぁ……この固有スキルの使い勝手の悪い所は……間違いなく『首以外は落とせない』これに限るやろうな。
「……拳も落ちたらなぁ」
増えた方の手のひらで攻撃を受けるが……まぁ、それも落ちはしてくれないやんな。
「……なーんか、隙が欲しいもんやわ、まるで隙がない……魔法を使わへんだけでこんなに変わるんか……」
いっつも魔法を使うその瞬間に攻撃をしていただけに、本当に隙がない。
「やっぱり強い……皆は大丈夫やろうか?」
固有スキルを使ったおかげで、仲間を気にする程度の余裕は生まれた。
「……ほっ!はぁ!……だーもう!」
氷像の目が全く諦めてくれない。
「っくそう!……お?」
なんて悪態を吐きながら叫ぶと、ぐらりと体制を崩した。
「……ランバートやな!」
あれを一度食らったからわかる……ランバートのスキルだ。
「首を!とるんや!」
怪腕を首に伸ばす。
その怪腕を崩れる体制から放たれる蹴りで対処してくる。
「……嘘やろ!?」
やけど!もう一本残っとるんや!
軸足を蹴り飛ばし、体を中に浮かせる。
背中から氷柱を突き出し、立ち上がろうとするが……
「とった……とったったで!」
怪腕で掴んだ首に広がる赤い線。
そして、ポトリと落ちるクビ。
強さからしてわかったが、やはり分身なだけあって血は流れない……あとは
「あら?ウチは4番目か……フューチが最後かぁ」
戦っているフューチを眺め、そうつぶやく。
なんか、怪腕や魔腕なんかの強い腕って、それを使う人自体が攻撃しなくなることが多い気がします。
なら、ツバキには、4本の腕のポテンシャル、そして、それらを操るセンスと精密性を見せつけて欲しかったものですからあんな感じですね




