古き日の夢 封印
「……よし、あとはここにフューチ、君の聖剣を刺せば封印完成だ」
緑の生い茂るサーラー跡地、青い結晶の洞窟の中で、ネーヴェの声が反響する。
「お!やっとか、それじゃ聖剣を刺すぞ?」
「あぁ、刺してく……くっ……れ」
「ネーヴェまさかまた発作が!?」
「ネーヴェ貴様大丈夫か!?」
「おいおい、大丈夫かよ!?」
「ネーヴェ様!?気を確かに!」
「ネーヴェ!しっかりしてくれ!」
「……やばい……皆……離れ……てくれ!今までとは違う!……早く!」
「……おい、本当に何かが違うぞ!貴様ら!下がれ!」
そうナイリーがみんなに叫んだ瞬間、ヒヤリと背中に這い寄る冷気。
そして、その冷気を遥かに上回る冷たい殺意。
四天王も、勇者も、皆が一瞬足を止めてしまった。
反射的に振り向いたその先に、ネーヴェは見えずに、ただただ白い、見慣れた雪景色だった。
「……やばい……やばいぞ!本気で殺しに来てる」
よく目をこらす……すると、6つの人影が見えた。
1つは椅子に座り、残りの5人は全て、一人一人の方を向いてやる気のようだ
「なぁ、みんな、恐らくだが、あの氷の王座に座っているのが本体だと思う、だが、さすがにあの5人を無視はできない、だからとりあえずあの分身も無限ではないから全員があの分身を倒すことを目標にしよう」
「……流石に一対一じゃ勝ち目ないぞ?」
ここにいる人物の中で一対一で勝てそうなのはフューチとツバキ、そして、ナイリーが勝てるかどうかと言ったところか……?
なんて思案していると、5人が同時に動きだした。
「……いやちょっと待て!?いつもより強ないか!?」
あのツバキが押し負けている
「なんだぁ!?っうぉあ!?痛え!?」
剣を片手にザクラと切り結び、上回る分身。
「なんやなんや!?なんでこんなに早いんや!?」
拳を避け、拳をツバキに叩き込む分身。
「っぐっ!攻撃が……あっぐ!」
圧倒的再生力を持つが、再生したそばから氷魔法で攻撃する分身。
「……ひと薙ぎであれほどの数を……!?」
馬鹿みたいにでかい氷の剣を薙ぎ払う分身。
「……固有スキル使っているのに……勝てない!なんで!?」
常に勇者の1歩先を行く分身。
そして、それらのサポートを的確にこなす王座の本体。
少しでも分身が削れるとすぐに『幻影の罠』を使って
すぐに反撃をしてくる。
以前教えてくれた。
『俺の分身の倒し方?速攻で粉々にすることだよ』
と言っていた。
ならば、そう思い全員にアイコンタクトを送るツバキ。
頷き、人から龍になるザクラ
糸を大量に用意するナイリー
分身から距離をとるランバート
固有スキルを使うツバキ
そして、聖剣の力を解放するフューチ
全員の目はこう語っていた『負けたままじゃいられない』




