アンカーと剣聖
「……行きますよ?」
「はい、どうぞ」
剣を構える2人、お互い軽く言葉を交わし、そして
剣聖が……いや、ミラン ダリンが目を開く。
目に光は無くとも、銀色の綺麗な髪に会う、青い目だ。
およそ150センチの体格に似合わない大きな剣を構える。
アンカーは長い腕と長い剣のバランスがよく取れてる。
そして、数秒の膠着の後ミランが動いた。
「はっ!」
結構早いし、威力もある一撃を振り下ろす。
……普通に受けたら手がジンジンしそうだ。
「……よっと」
その一撃を軽くいなす。
「うひゃあ!?」
そして体制が崩れたところに容赦なく剣を振り下ろすアンカー。
「よ、容赦ねぇな……」
「アケガネの言う通り、容赦してないな……怖っ」
だが、その崩れた体制からも剣を受け止めるという離れ業を見せてくるミラン。
そしてまた距離をとる。
「やりにくいねぇ……なんかガクンってなるなぁ……?」
さっき見てわかったがアンカーの剣は剣と剣が当たって力を込める瞬間にガクンと力を抜き、受け流す戦い方のようだ。
だが、アンカーの受け流すタイミングが完璧だ。
どこを見て受け流すタイミングを決めるのかわからないが、攻撃を完璧にいなす。
「……ふははっ!強いですねぇ!剣聖様」
「……あんなヤバいやつだったっけ?アンカーって」
「いや……随分と嬉しそうだな……」
「私も楽しいよ!行くよ!アンカーさん!」
そう言って切りかかる剣聖の動きを、フェイントを見透かし、攻撃と攻撃の隙間に剣を振り下ろすアンカー。
そんな風に何度も何度も切りあった結果、またしてもお互い距離を取った。
「……アンカーさん、あなたは間違いなく、私の知っている剣士の中で、最強です!
……私も、自力では勝てませんから、私の力をお見せします」
「それはどうもありがとうございます」
「『剣魔法』『爆炎剣』!」
そう言って爆炎の……少し色のおかしい炎を振り回し、地面にたたきつけ、それを軸に回転をする。
地面に剣があたるたびに爆炎が巻き上がる。
「炎!?」
「なんだあの火力……!?」
「剣聖ヤバないか?めっちゃ強ない?」
「おい!アンカー!死ぬなよ!?」
「……僕も……本気でやるとしますか
……よく見れば……隙はある……ここだっ!」
地面に剣があたったその瞬間に詰め寄る。
「おぉ!いいぞ!」
そう、アケガネが言う。
他の2人はただ、見つめるしかできない。
「僕の唯一の魔法……『水魔法』!」
水をかぶるだけ、派手じゃないが、使える手だ。
それに、水の量も山ほどある、多分MPを使い切るぐらいの気持ちで使っているな。
そして、剣と剣が当たったその瞬間。
白い煙が膨らみ、当たりを破壊していく。
「……ギリギリ……勝てましたね!
私の勝ちです!アンカーさん!」
嬉しそうに喜ぶ少女。
「最後なんで爆発したんですか……ガクッ」
口でそんなことが言える余裕はあるようで何よりだ。
やはりアンカーは強かったな……
剣聖も、荒削りな部分はあるが、強いな。




