ホシノキセキとホシノカケラ
昔昔、とある所に蕾がひとつありました。
夜空へ散りばめられたたくさんの煌めき輝く星々。
それらはその花を咲かせようと光り輝き、彼女を開花させようと奮起しました。
赤い花は豪炎を見事に操り、夜空の星が霞むほどの光を放ちました。
ですが、蕾は炎が怖くてたまりません。
青い花は緩やかに流れる水を操り、星をキラリキラリと光らせ、幻想的な世界をつくりあげました。
しかし、蕾は大量の水が怖くてたまりません。
薄緑の花は風を起こし、落ち葉を宙へ舞わせました。
しかし蕾は見向きもしてくれません。
星々は聴きました
『あなたは何を求めているの?』
か細い声で蕾は言いました
『美しい舞がみたい』
その言葉に希望を見いだした星々は、舞を踊れるものを探しました。
しかし、唯一舞を踊れる白い星は1人では嫌だと言いました。
ある日、空を流星が横切りました。
輝く星々の間をゆらりゆらりと舞うその姿に蕾は言いました。
『あの人を見てみたい』
星々はすぐさま流星へ声をかけました。
流星を呼び止め、舞を踊って欲しいと頼むが。
『1人では嫌だ、誰かと一緒じゃないと嫌だ』
金色の長い髪の美しい流星がそう言いました。
しかし、誰も流星と舞える自信のあるものはいませんでした。
『あのものは?できることなら私はあのものと踊りたい』
指を指した先にいたのはいつも1人で、蕾を咲かせることに興味のない白い星。
『いいですよ、あなたとなら、構いません』
そう言って剣を抜く。
示し合わせたかのように金の星も剣を抜く。
蕾へみせたのは白と金の剣の舞い。
舞い散る火花、するりするりと避け合い、笑顔の2人。
右に左に、舞は続く。
初めに剣をぶつけ火花を。
次にお互いが同じように離れ、お互いが右回りに回転をし、また剣がぶつかる。
白い星が下から切り上げる。
流星も負けじと上から切り下ろす。
剣と剣が何度もぶつかり、一時膠着状態になる。
その引かれる舞に星々は言葉を忘れ見入る。
蕾に隠れた彼女も顔を少し覗かせる。
最後にもう一度剣をぶつけ火花を起こし、お互いが離れ、そして一瞬の速さでお互いが横を抜け二本の剣閃が走り、世界が割れたかのような美しい火花を咲かせた。
そして2人向き合い頭を下げる。
舞が終わるとそこには蕾ではなく花となったホシノキセキ。
この世の全ての星々が起こした奇跡。
それらを労うように、この世の全ての星々の欠片のような、虹色のホシノカケラのような花びら。
真ん中に立つ凛とした顔立ちの美しい少女。
そして、そうして、いつまでも星々と戯れ続けたホシノキセキは、遊び疲れ、また眠ってしまいました。
まるで神話みたいな書き方しました……
流星が長い髪なのは、流星が流れる時の帯のようなものが髪に見えたから、ですね。




