その男の行動原理
「……いやー、なかなかボリュームのある話やな……ってかザクラまだ帰ってこうへんな……まじで時間かけてくれてるんかな?」
「ザクラ様のことだから真昼間から酒場にでも行って時間かけてるんじゃないの?
ネーヴェ様も気まずいでしょうし、きっとザクラ様に流されてるんじゃないのかな?」
「……ありそうやな……そうや、アリス、ウチはまだ聞いてなかったけど、なんでそんなことをしようと思ったん?」
「あぁ、それはよく聞かれるなぁ……私って、みんな知ってると思うけど、所謂『魔人』……魔族と人のハーフなのよね
それで、人間と魔族の間に生まれた私は両方に受け入れられなかったから、逃げるように魔界の端に逃げてったのよ
そこで初めてネーヴェと出会ったのよ
ネーヴェも、白い髪って言うのは魔族の使う闇魔法と正反対の色で、神聖魔法の色とされてるから嫌われて、私の同じように命からがら逃げ延びてきたの」
「それで?」
「そんな風にして生きてて、なんか小さい小屋があったの、その小屋の中にはなんかの植物の種とか色々あって、その種を食べて何とか生きてたの
こんな状況だし2人とも協力して、寒い日はくっついて寝たりして……ネーヴェ様はなんて言うか……家族みたいな存在なの
だから、様って呼んだ時は凄く『やめろ』って言われてたなぁ……話ズレたね」
「 へぇ……それで!?なんであんなことやらかしたの!?」
「いや……それがね、ネーヴェがいつもみたいに頑張って食べ物盗んできた後に言ったのよ」
『なんで俺達がここまで嫌われるんだろうな……?
俺達が何かしたって訳でも無いのに……理不尽だよな』
「って、それに私は『そうだね、でも仕方ないよ』って答えたんだ……ついさっきの事のように思い出せるよ、私がそう言うとネーヴェが怒ったような顔で」
『何が仕方ないんだよ!?俺だって普通の人みたいに生きたいよ!』
「って言ったんだ……私もその時はそうしたいって泣いてたな……その後」
『……アリス、俺魔王になるよ』
「なんて言い出したのよ」
『魔王になれば今の現状を変えれる……なんて言ったって、一番偉い奴が魔王なんだから』
「って、子供みたいなこと行って……いや、あの時はまだ子供だったね
そして、それを実現するために本当に努力して……いまさっきの話になるのよ」
「……なるほど、思ったよりも激しい差別と苦しい人生を送ってたんですね……」
「せやな……ウチはそんな苦しい思いなんかしたくもないわ……」
「まぁ、裏表のないネーヴェの思いをそのままぶつけたから、上手くいったのかもね」
「かもね……あれ?そういえば『ネーヴェ』と『アリス』ってどっから来た名前なん?名付け親とかおるん?」
「あ!確かに!私もそれ知らない!教えてください!」
「あぁ、そうですね『ネーヴェ』はとある絵本の雪のように白い星の名前ですね
私の『アリス』はその絵本の中の金色の星の名前で、所謂ヒロインですね
2つとも、まるで私たちのことを名指しにしたかのように似ていましたから、これしかないって思って」
「え、絵本……?なんで絵本?」
「私たちふたりとも名前が無くて……その絵本だけがあばら家にあったからそこから取ったんです」
「へぇ……その絵本の名前とかってあるの?」
「名前ですか?……それがかなりボロボロで文字もギリギリ読めた程度で……後々頑張って直して見て、題名は多分『ホシノキセキとホシノカケラ』だと思います」
「……へぇ?どんなお話かまた聞かせてよ」
「いいですよ、また別の機会にでも」
絵本については次に書きます。
完全に自分で作った絵本になりますが……まぁ、覚えているといつかニヤリと出来るでしょう、そう予告しておきます。




