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魔王は隠居をやめる  作者: 春アントール
過去の王位継承戦
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雷と雪

「なら!俺も今日の今日まで隠していた固有スキルを今使う!」


「轟雷眼じゃないのか!?」


これには俺もびっくりだ。


「そうだね!だけど、破壊力は満点だ……行くよ?『神鳴り』!」


「……俺の固有スキルに似てるな……」


俺は背中に大雪を

彼は背中に轟雷を


「……だけども!俺はあなたを超えて魔王になる!『偽の氷像(アイスドッペル)』!」


4人、俺を含めて作り出した。


「この分身が使う魔法も本物だ!俺の見つけた応用を見よ!」


分身に合図を送る。


「あー、俺はあれね……『奪う雪(スティールスノウ)』」



と返事をして魔法を使う。


本来、この固有スキルを使っている時は氷魔法しか扱えないが……分身は違うからな。


「『白い闇(ホワイトアウト)』!」


荒れ狂う『白い闇』の中に『奪う雪』を忍ばせる。


「……目が見えない……耳も……まぁ、いい……『神鳴り』が、目以上に世界を見透かし、耳以上に知らせてくれる!」


カタナを鞘に戻し、準決勝のあれをやる気みたいだ。


腰を深く落とし、まさしく猪突猛進。


目は見えないはずなのにこちらを見据える。


「『晴天霹靂・轟』!」


「っつ!見えなっ……」


「分身だ、それは」


……この速さなら『嘘つき氷像(フェイカードッペル)』で対応出来ない……やっぱりあれをやるしか……


「まだだ!」


切り返してまた分身を斬る。


「後2つ!」


そう言って最後の分身を斬る。

偶然俺には当たらなかった。


「……さぁ、最後だ!ネーヴェ君!」


「……もう、これで終わりにしようか……『凍てつく(オーバーフリーズ)世界(ワールド)』!」


背中にあった雪も、それら全てが地面を凍てつかせ、オルソー様の雷諸共狙う。


無差別広範囲攻撃。

守りを捨てた一撃。


この魔法は自分のいる場所を中心に渦を作る。


そして、自分は動けないという弱点もある。

それに、あっという間に魔力を使ってしまう。


だが、強い。


「ネーヴェ!終わりだっ!」


「……『薄氷の氷城壁(ハリボテキャッスル)』!」


城の城壁ような圧倒的な威圧感の氷の壁。


分厚さは比べ物にならないが……綺麗に星型に切り落とされ、その間から入り込んでくるオルソー様。


「これで終わりだっ!………」


「……あなたが……ですけどね」


刀を振りかぶり、切りかかろうとするその瞬間。


見事な氷像になったオルソー様。


魔法を解き、そして、決まる


「し、勝者!ネーヴェ選手だぁ!

この魔界の王はネーヴェ様になったぜ!皆喜べ!」

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