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魔王は隠居をやめる  作者: 春アントール
過去の王位継承戦
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鮮血剣と夜雪魔法

降り注ぐ黒い雪、それを魔法の『ブラックニードル』で傘を作って防ぐという応用で対処してくる……


感心していると目がギラりと光った。


「……いくよっ!灰燼眼!」


「来たな!『氷壁(アイスブロッカー)』」


目の前に壁を作り出し、魔眼の対象をこっちの壁にした。


魔眼の弱点は俺も知ってるからな。

氷壁が風穴を空けられた……威力は本物だな……


「……まだ君も本気は出してくれないんだね? 」


「……その言い方だと、カムラン様もまたみたいですね?」


「……いや、私の方からは本気出したくないんだよ……ハンデってやつよ」


「……分かりました、なら、後悔しないでくださいね?」


「……うん、来てみなさい」


「俺の固有スキル……最後の隠し玉……『凍る命(フリーズライフ)』……行くぞ」


敬語なんて忘れた。


今は、この能力を1秒でも長く使えることにだけ集中するんだ。


「……な、何これ……?」


唖然とした表情のカムラン。


彼女の目の前に広がる光景は、1人の少年の背後に巻き上がる白。


雪の粒が巻き上がり、彼の思いどうりに動き出す。


「……『白い闇(ホワイトアウト)』……」


右手を軽く振り、雪の塊を地面にぶつける。


この固有スキル、まだまだ発展途上だが、今わかることはこれだけだ。


身体能力が大幅に上がる。

氷魔法以外使えなくなる。

ものすごく冷静になれる。

あまりながくは持たない。


この4つだけだ


「なにこれ!?前が見えない!?」


「このスキルは!俺の魔法の全てを1段階上へ進化させる!

その『白い闇』は『雪化粧(スノウワールド)』の進化した姿だ!

雪に触れているあなたの動きが手に取るようにわかるね!『氷塊鈍器(アイスハンマー)』!」


斬ると死ぬから鈍器にして思いっきり打ち砕く。


「くーらーえっ!」


片手で自分よりも大きいハンマーを持って、目にも止まらぬ早さで距離を詰め、殴り飛ばす……はずだった。


「そこから来るよね!『灰燼眼』」


さすが天才、タイミングを完璧に合わせられた……


攻撃できずに終了……とは行かない。


「『偽の氷像(アイスドッペル)』」


「またそれ!?今のアナタのいちはわかってるし、その人形は無視よ!あなたを先に潰す!『灰燼眼』」


そう、さっき距離を詰めたから、彼女の魔眼の射程範囲内だ

流石の固有スキルでも、もう既に完成している『偽の氷像』は『見た目上』変わらない。


「『嘘つき氷像(フェイカードッペル)』」


「……え?本物……じゃない!?」


「後ろだよ!」


「っ!?『灰燼眼』」


塵になる寸前意地の悪い笑みを牙を見せながら嘲笑う


「これも偽物!?」


「『偽の氷像』は、数と、入れ替わる能力を手にした……もっと見せたいけど、これで終わりだよ」


「何を言ってるのよ!?」


「『凍て地の捕食者(アイスプレデター)』」


「っ!!あがっ!?」


「それは『氷牙(アイスファング)』の進化版……

最も、もう聞こえてないかな?」


固有スキルをとっとと解除しふらつきながらも勝利した。


……強いけど、長期戦に向いてないな……

でも、この氷の柔軟性があれば……やはり俺は魔王になれる!


「し、勝者……ネーヴェ選手!

ネーヴェ選手決勝戦進出ですっ!」


「……はぁ、まだ歓声は無しか……」

説明しながら戦って最後に

「……最も、もう聞こえてないかな?」

って余裕見せて勝つのかっこいいですよね……ね?

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