第3試合 奥の手その1
「只今より、現代大躍進中のネーヴェ選手とアンテル選手の試合を開始致します!」
この人は『選手』ってつけるんだな……個人差あるなぁ
「……あなた……エンヴァーに勝ったんだ……アイツ叩き潰したかったのに……」
青い髪の美人さんが物騒なことを言っている。
「仲良かったんですか?」
「まぁ、幼なじみですし」
「2人とも頑張れー!」
「……まぁ、あの馬鹿具合ですから」
「ははは……」
「……それでは、初め!」
「……行きますよ?『雪化粧』」
「もはやおなじみですね」
「……やっぱり知ってますか」
「結構有名ですからね」
「……なんか、有名になるのはあとの方が嬉しいですけどね」
「……ふふっ、あなたその歳で随分とよく知ってるわね」
「それを生かせたことはありませんけどね
ついでに『氷河形態』」
「……知ってるだけで随分と違うものよ?
『水弾』!……あら?」
魔法がゴトンと氷になって落ちてきた。
魔法を一瞬で無効化にさせるフィールドを作り出す魔法だ。
しかも、その形は魔法によって様々なものでもある。
例では、この水魔法は凍らせ無力化だ。
「……あなたの水魔法は無効化させていただきます」
「うーん……闇魔法、使いますか『ダークコーティング』」
「……?」
なにか来ると身構えても何も来ない
「水魔法を闇魔法でコーティングして凍らないようにしたのよ」
「……流石に……厄介ですね」
「かもねっ!」
「近距離戦!?」
拳を握り振りかぶってくる。
「殴り!?」
しかも結構痛い……
今大会初の流血だ。
「……っ!?危なっ!」
「!嘘っ、今の避けられた!?」
「あっぶない……危ない……」
殴り飛ばされたその先にこの凍るフィールドを利用して氷柱を山ほど背後に設置していた。
場数が流石に違うな……対応が早い。
やっぱり対応される前に叩くしかない。
「……うん、戦い方わかってきた
『大放水』!」
「!?何をっ!?」
そう驚く暇のなかった
押し寄せる大波、それらが足元に流れ、氷、足枷になる。
だけど、上の水は一切凍らない。
……飛んでもいいのだが……魔法勝負している時に飛ぶと滅多打ちにされるし、このフィールドを解除をすると勝てない……
「くそっ!奥の手その1!『夜雪魔法』を使うか!
『奪う雪』」
「……黒い……雪?」
黒い雪が少しずつ、ポツポツと降っている。
そして、空へ俺は逃げる。
空へ逃げても、今は雪の対処に焦っているようで追撃はない。
「エンヴァーさんみたいな威力はない……が、その雪に当たりすぎると……ね?」
「……?まぁいいわ、少し見にくいけど、このまま水に溺れてもらうわ!」
「……?おい!アンテル!どこ向いてんだ!?」
「……え?」
「それじゃ、簡単に後ろが取られちゃいますよ」
「っ!?なんでっ!?」
後ろに振り向く……いや、そのまま一周回って同じ場所に戻ったか。
「!?どこにいるの!?……目が見えない!?」
「おい!?アンテル!?」
「……誰か声を出してよ!?何も聞こえない!?
………!………!!」
「……それじゃ……これ、戦闘続行不能ってことでいいですか?」
「……は、はい……アンテル選手、続行不能と判断し、ネーヴェ選手の勝利とします……」
さっきまで俺が勝つと文句を言ってきたヤツらは今、声ひとつあげない。
ぐるぐる回りながら何かを探そうともがき、声ひとつあげない不気味なアンテルさんを見て、俺を気味悪っがっている。
「『奪う雪』解除」
「!やっと見えた!……え?なんで終わってるの!?」
「俺の勝ちです……ありがとうございました」
「え?なんで!?何があったの!?」
そんな動揺しているアンテルさんを背に、戻っていく




