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魔王は隠居をやめる  作者: 春アントール
新たな世界へ
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回想 衝突

「……はぁ!?あんた何言っとるんや!?」


「だから……言ったままだ、王の座からおりる、それだけだよ」


「……それはさせんで、今の世界平和はあんたと勇者の圧倒的な抑止力がおるから成り立っとるんや、やのに何言っとるんや?辞めるなんて」


「……俺はもう嫌なんだよ、確かに世界は平和になったけど……それでも、俺が生きてることに俺が納得いかない

あれだけ大量の命を奪っておいて俺だけお咎めなしなんて虫が良すぎる……せめて無限とも言える寿命の間、何もしない、それが俺の、俺なりの償いかただ」


「……ネーヴェ、表出るで、いつも通り喧嘩で決着や」


「……俺は今、ほとんど全てを封印している……お前には勝てねぇよ」


「……やからウチは喧嘩売っとるんや……

なんでやめてまうんよ?ウチが好きなんは、ウチらを圧倒的な力とカリスマで引っ張ってくれたあんた……ネーヴェが好きやったのに!」


「おまっ!?何堂々とそんな恥ずかしいことを!?」


ツバキの目には涙すら浮かんでいた


「……なぁ!辞めんといてよ!ウチらがおるから!

皆であんたの分の罪も背負ったるから!」


「……やめろ、俺は……今は王なんだ……自分のつけぐらい自分で払う……だからやめろ……」


「あんたやって未練があるんとちゃうんか!?

なんでウチらと一緒にいてくれへんの!?

ウチやって一緒に居たいのに!」


「……やめろ!俺は今の平和な世界から消えるんだ!」


「……やったら力ずくでも辞めさせへん!」


「……?どういう意味だ?」


「そのまんまやっ!」


「!?お、お前っ!」


「このままあんたが辞めへんって言うまで絞める……今のあんたじゃウチからは逃げれんで」


「……無駄だ、お前がいくら何をしようと……俺は曲げんぞ」


「……曲げさせる……あんたのことをどれだけみんながしたっとるか……それを知らんからそんなことが言えるんや!」


「……ツバキ、これが最後だ『やめろ』」


いくら封印しようと、感や圧は変わらない。

氷魔王の持てる最大限の圧力と共に冷たく睨む。

この時、初めて仲間に本気の殺意を向けた。


「っ!……いやや!」


その殺意に少し怯むもやめてはくれなかった。


「そうか……なら、お前に全力で抗うよ」


勝てないとわかっていても、ひたすら動きを止められまいと逃げ回った。

だが、最後はツバキが折れた


「……なんでよ……あんたがおらんなったら絶対過激派が暴れるって……なぁ!」


「……そうかもな」


「!ならなんで!?」


「世界平和の頂点に立つやつの手が血みどろなんて、平和の正反対の存在なんて、ジョークにすらなりはしないよ……ただそれだけだよ

それに、ニーアが魔王は継いでくれるさ」


「……もう……ええわ……あんたのその思いは曲げれんみたいや……勝手にしたらええわ……やけど、もう、ウチに会うのは1回だけしかダメや……ウチの好きって言う気持ちが止められんかもしれんから……」


「……1回……お前はつくづく優しいな……ありがとう」


その1回は非常事態の封印解除の時のためだろう。


「……バイバイ……ネーヴェ」


「……あぁ、ごめんな……ツバキ」


「……うるさい……早くどっか行って……」


「……あぁ、わかった」


そうして喧嘩別れしたのが、僕達だ

意外と頭は良いツバキ

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