回想 相棒
……傷が治るまで時間があるな……昔のことでも振り返ろうか……
昔、僕は……ツバキといわゆる相棒のような仲だった
そこら辺の家族なんかよりもずっと深く、硬い絆で結ばれていた。
人間と戦う時も、いつだってアイツが僕の隣にいた。
「ネーヴェ!行くで!」
「あぁ!奥のヤツらは俺に任せろ!」
なんて風にして、攻めてきた軍を何度も何度も打ち負かしてきた最強コンビだった。
お互いを磨き会うためにも何度も何度も組手をした。
だから、コンビネーションも完璧だった。
時々意見が合わず喧嘩になることもあったが、その時は『喧嘩で勝ったやつが正しい』と言う僕たちふたりの信条に基づいて意見を通した。
そんな僕達の出会いはこんな感じだったか?
「……というわけなんだ、我々が共存する世界を作り上げたい……できることなら人間もだ」
シュレンドの王に直談判し、話し合っている
「ふむ……我としてもこの提案は是非とも受けたい……それに、ここは田舎だからな、他国の良い所を取り入れたいとも思っておったよ、喜んで協力しよう」
「助かった、鬼の王」
「うむ、だが……魔族の方にもこんな話に乗るヤツは少ないであろう?我が国最強の者を送る、上手く使ってくれ」
「!いいのか?」
「それだけ期待しているということだ
我の名が歴史に残るやもしれんからな!」
最後は冗談のように笑いながら言った。
「そうだな……そいつはどこにいるんだ?」
「……うーん……どこだろうか……」
そういうと激しい揺れとその方向に立つ砂埃
「あ、あそこだね」
「……ほう?」
期待が膨らんだ。
「……女……?」
「ん?誰や?あんた……角生えとるけど鬼やないな……?」
辺りの様子から先程の砂煙の主だとわかった。
燃えるような赤い髪と赤い目は……竜族の友を思い出した。
「ツバキ、この人は近代の魔王様だ」
「よろしく、ネーヴェだ」
「……魔王……?はー、意外と体の線が細いんやなぁ……魔王って言うともっと異形の化け物を想像しとったわ!」
「そ、そうか」
第一印象は元気なやつ。
……それは今でも変わらないね。
「……ツバキ、君はこの魔王様について行ってもらう」
「?どういうことや?」
「……少し説明しよう」
そうやって説明している間ふと思った……この子は王にもタメ語で話せるぐらいに地位が高い子なのか?
「……はー、なるほど?世界平和かー!平和!えぇなぁ!面白い魔王様や!よし!わかったでー!ウチも手伝う!」
「そうか、ありがとうな」
「うん!任せーや!ウチがおったら100人……千人力やで!」
「頼りにしてるよ」
その実本当に世界平和に大きく貢献してくれた。




