お茶会
「……もーらいっ!」
「あっ!てめぇ!」
「日頃の恨みや!食べ物の恨みは怖いんやでー!」
「てめぇはアップルパイがあるだろーがよ!」
「そっちこそ!紅茶のんでお高くとまってるんやね!」
「んだと!?」
「喧嘩するな!」
「「アイダッ!!」」
「ったく……ほら、フブキ、クッキーなら、私の分をあげよう……ネーヴェも、魔王なら、魔王らしく降るまえ……」
「ありがと……フューチ」
「……それ、もう辞めたしー……隙ありっ!」
「隙なんかないわっ!」
「こらっ!」
騒がしく、仲の良いお茶会……
お茶を飲んでるのはネーヴェとフューチの2人だけだけどね。
「……まぁ、お菓子なら、いっぱい作るから……ゆっくり食べてくれ」
「押忍」
「わかった」
「……はぁ、それでいいさ」
しばらく、この芝生の上に置かれた急設ティーセットを離れ、歩くと……茶色い屋根に真っ白の壁。
そして、鼻腔をくすぐるコーヒーの香り……
「あれ、なんだ?」
「さぁ?フューチは?」
「私も知らないな……お邪魔しようか?」
「「行こう」」
「いらっしゃい……珍しい……神様以外も来るんだね」
凄まじいことを言う、若い店主がコップを磨きながらそういった。
「……なんて言った……?
……いやいい、コーヒーを3つ、俺はブラックで」
「私もそれで頼もう」
「う、ウチはミルクかな……」
「かしこまりました、しばしお待ちを……」
「……父さんと母さん……向こうでも元気にしてるかな?」
浴衣に身を包んだ1人の氷鬼が、ポツリと呟いた。




