第58話 ウコピ②
來楓が草原の草を掻き分けて進むと、不意にぽっかりと拓けた場所にやってきた。
草原の中でもこの周囲は草の背丈が低く、広々とした場所となっていたのだ。
そこで來楓は目を見張った。
「こ、これは……ッ! プチトマトがいっぱいじゃないッ!」
辺りにはプチトマトが群生していた。
「ウコピから生えた実がまた落ちて、そこから生えてを繰り返して、今ではこんなにたくさんになっただッピ。食べても食べてもなくならないだッピ」
ハーピーは嬉しそうにプチトマトをついばんだ。
來楓はハッと気付いた。
兄がくれたお弁当。その中に、他にも種のある食材が使われていれば───!
來楓はお弁当の中身を懸命に思い返し、ある食材があることを思い出した。
「カボチャがあったわッ! お兄ちゃんはそそっかしいからよくカボチャの種を取り忘れたりするのッ! だからお弁当のカボチャにも種が残っていたかもしれないわッ!」
來楓はゴブリンたちに駆け寄った。
「ねえ、あなたたち。あなたたちの中でカボチャを食べたのは誰ッ?」
そう言われたゴゼ、ブゾ、リンは顔を見合わせた。
「カボチャってなんだゼ?」「そうだぞカボチャがわからないゾ」「カボチャってどんな食べ物だったワヨ?」
來楓は大急ぎでカボチャがどんな食べ物かを教えた。
「ああ。それなら……だゼ」「そうだな。それなら……だゾ」「…………」
「「「カボチャを食べたのはリンだゼ・ゾ・アタイワヨ」」」
來楓はリンの両肩をがっしり掴んだ。
「リンッ! 教えてッ! カボチャを食べた後───カボチャを食べた後にあなたが───」
來楓は首がもげるかと思う程、激しくリンをガクガクと揺さぶった。
「あなたがウコピをした場所を教えてッ!」




