第57話 ウコピ①
元の世界の作物四品でお弁当を完成させるためには、どうしてもあと二品の元の世界の作物が必要だった。
來楓はその二品が、どうすれば手に入るかを悩んだ。
腕を組んで「うーん、うーん」と悩みつつ、どこへ行きともなく來楓は校庭の畑を歩いていた。
すると───。
「おい。あぶないゼ」「そうだゾ。あぶないゾ」「そこでとまるワヨ。あぶないワヨ」
ゴブリンたちが來楓を呼び止めた。
「───え? なに? 何があぶないの?」
そう言って來楓が立ち止まると、目と鼻の先に畑の肥料袋が落下してきた。
ハーピーがイタズラで來楓を爆撃したのだ。
「こ、こらーッ! あ、あぶないじゃないのッ! イタズラはやめなさーいッ! 」
來楓はあわや大惨事になる寸前だったので、肝を冷やした。
「キャハハハハハッ! ざんねんだッピ! ゴブリンたちが注意しなかったら大成功だったのにだッピ!」
「もう。本当にイタズラ好きなんだから。私のお弁当も奪うし本当に困ったハーピーね」
來楓は腰に手をあてて「おこですよ」アピールをした。
「あーしはお弁当はとってないだッピ。お弁当をとったのはあそこのハーピーだッピ」
ハーピーは屋上の柵に留まっている別のハーピーを指さした。
「え? あ、そうなの? ごめんなさい。私たちの言葉をしゃべってるからてっきりあなたかと思って───。
あれ? でもちょっと待って。確かハーピーたちは学校に来た時から全員が私たちの言葉を喋っていたわよね? どうして? どこかで私たちの世界の食べ物を食べたの?」
來楓はそういえばと、ハーピーたちがやってきた時のことを思い出した。
「それこそあそこのハーピーがあーしたちに「ある作物」を教えてくれたからだッピ。それを食べたらあーしたちは言葉がわかるようになっただッピ。驚いただッピ」
「え? そうなのッ?」
來楓も驚いた。
「ねえ、その作物のことを詳しく教えて。それってどういうことなの?」
「じゃあ、まってるだッピ。あのハーピーを呼んでくるだッピ」
そういってハーピーは翼を広げると屋上の柵まで一飛びし、すぐにハーピーを連れて戻ってきた。
「お弁当を奪って食べたあーしは、そのあとウコピをしただッピ」
「───ん? ウコピ?」
來楓は「ウコピ」が何のことか一瞬わからなかったが、話しの流れからなんのことかすぐピンときた。
「そしたらそのウコピをしたところから見たこともない植物が生えてきて赤い実をたくさん実らせただッピ。それがあまりに美味しいから仲間にも教えて食べさせてあげただッピ」
それを聞いて來楓は興奮で全身の血が勢いよく駆け巡るのを覚えた。
「そ、それって───……! ハーピーッ! お願いッ! その実がある所を教えてッ! あなたがウコピをした場所に連れてってッ!」
ハーピーたちは顔を見合わせて「ウコピをした場所を教えてくれなんて変な事をいうだッピ」という顔をしたが「いいだッピよ。こっちだッピ」と案内してくれた。
ウコピはウコピです!(笑




