表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/65

第49話 王都に到着

「ほほう~。あれが王都か。さすがに立派じゃのう」


 久造(きゅうぞう)は馬車から身を乗り出し、小手をかざして遠くに見える王都に目を凝らした。


「本当ですね。凄いです。あんなに高くて立派な城壁が何重にも張り巡らされて、高い塔もいっぱいですね」


 來楓(らいふ)は欧州の歴史ある城塞都市のような王都の姿に息をのんだ。


 王都の背後は海に面していて、來楓は異世界で初めて見る海にも目を奪われた。

 海は透き通るようなエメラルドグリーンで、旅行雑誌のパンフレットなどでよく見る高級リゾート地のプライベートビーチさながらだった。

 そして海上には大きな帆船が幾隻も行き交い、船着き場には何隻もの船が停泊して、たくさんの積み荷を盛んに上げ下げしていた。


 來楓はその賑わいを見て、数日かけて王都観光を楽しみたいと思ったが、ぐっと我慢して宿を確保すると、休憩もそこそこに当初の目的の通り、市場に出向いてニングが教えてくれたお弁当屋を探した。


 王都の市場はさすが王都だけあって、これまでの村の市場とは規模が桁違いだった。

 來楓はこの賑わいの中からお弁当屋をみつけることができるか心配になったが、その心配は杞憂だった。

 目指すべきお弁当屋はすぐに見つかった。

 ニングもすぐにわかるといっていたが、その通りだった。

 市場の中ほど、中央広場の近くにお弁当屋はあったが、お弁当を買い求めるお客の行列が広場の中央にある噴水を何重にも周回していたのだ。


「す、凄い行列ですね……」


 來楓はあまりの行列の長さに驚いた。


「まったくじゃ、これほどだったとはのう」

「ニュッニュゥ~」


 久造もニュウも同様に驚いた。

 とにかく來楓たちは行列に並んだが、お店にたどり着くまでたっぷり一時間は行列に並ぶことになった。

 列が進んでようやくお弁当屋の看板が見えてくると、來楓はそのお弁当屋の屋号(やごう)が気になった。


「久造さん、お弁当屋の屋号(やごう)と看板ですけど『スロー弁当店 名物☆あいまい弁当 数量限定! 好評販売中!』と書かれていますね……」


「うむ。そうじゃのう。『あいまい弁当』とはどのようなお弁当なのかのう」

「ニュッニュゥ~」


「そうですね。お弁当の内容も気になりますが、あの文字は私たちと同じ文字です……」


 その事を云われて久造とニュウはハッとした。


「た、確かにそうじゃなッ!」

「ニュッニュゥーッ!」


「お弁当屋の店主も異世界転生者だとニング先生がいっていました。となると、どうやらその転生者は私たちの同郷の方ということのようですね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
高級リゾート地のプライベートビーチ →いいなぁ(憧れ) お弁当屋さん大盛況ですね。 名物⭐︎あいまい弁当 ……あ あいまいはそういう意味か……ふふ。 誰かに愛情込めて作ってくれるような、優しさ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ