第16話 エルフの里に到着
エルフの里のすぐ近くまで来た來楓たちは、一晩野営をした翌日、いよいよ里に乗り込もうと準備をしていた。
「さすがに少し緊張しますね」
「そうじゃのう。話のわかる相手だとよいのじゃが……」
「ニュゥ~……」
來楓はもちろん、久造もニュウも緊張を隠せなかった。
來楓たちは昨晩、エルフの里へどうやって入るか相談をしていたが、こっそり忍び込むなど下手に策を弄したりぜず、真正面から堂々と訪れようと意見を一致させていた。
その為、準備が整うと、エルフの里に真っ直ぐに近づいていった。
この時、精霊水馬が「我の背に乗るがよい。より堂々として威厳がでるぞ」と提案してきたが、來楓はその申し出は丁重にお断りをした。
エルフの里に近づくと、すぐにエルフたちが來楓に気づいた。
「あ、あの、こ、こんにちは。
私は須藤 來楓と申します。怪しいものではありません。私も異世界転移者で、こちらにおられる同じく異世界転移者の方に会いにきました」
來楓は努めて友好的にエルフに話しかけたが、そう來楓に声をかけられたエルフは一人、また一人と家の中や木の陰に身を隠し、掻き消えるように姿を消してしまった。
そしてついにエルフは誰一人いなくなってしまい、気配さえ感じなくなってしまった。
「えっと……。久造さん、エルフが誰もいなくなってしまいましたね……」
來楓は明らかに自分たちが怪しまれ、警戒されていることを痛感した。
「そ、そうじゃのう~……。これは思いのほか、話し合いは困難なのかもしれんのう……」
久造も心配した。
來楓は少し尻込みしたが、意を決すると声を張って「エルフの皆さんッ! 私は怪しい者ではありませんッ! こちらにおられる異世界転移者の方とお話がしたいだけですッ!」と訴えた。
すると來楓の目の前を何かがシュッ!と横切った。
來楓がその何かを目で追うと、近くの木の幹に矢が突き刺さっていて、矢尻がビィィンと震えていた。
來楓はサーッと顔から血の気が引いた。
さらに間髪入れずに何かが空を切る音が数回したかと思うと、來楓や久造、ニュウ、それにゴブリンと精霊水馬の足元に数本の矢が突き刺さり、來楓たち一行をその場に釘付けにした。
「その場を動くな、外部からの侵入者よ」
そう言って現れたのは武装した鎧姿のエルフたちだった。
全員が弓に矢をつがえ、油断なく來楓たちに狙いを定めていた。
來楓たちは身を寄せ合って固まると両手を挙げて敵意がないことを懸命にアピールした。
あまり歓迎されていない來楓たちですが、酷い目に遭わされたりはしないのでご安心くださいませ♪
( ᵕᴗᵕ )
そしていよいよエルフの里の異世界転移者の正体が明らかになります。
とても意外な人物と思っていただければ幸甚と存じます(ニヤリ
皆さまのご期待にそえるよう頑張ります~!
୧(˃◡˂)୨




