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【アニメ化決定】ヒロイン?聖女?いいえ、オールワークスメイドです(誇)!  作者: あてきち
第8章

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エピローグ

10/9 第8章全話一括公開!

 ティンダロスの事件の翌日、十二月二十一日の朝。王立学園の一年Aクラスに素敵なサプライズが起きた。しばらく体調不良で休学していたセレディア・レギンバースが復学したのだ。


 さらに驚くべきことに、銀の髪と瑠璃色の瞳という神秘的な容姿をしていた彼女は、復学すると茶色の髪と茶色の瞳というごくごく一般的な容姿に様変わりしていたのである。


「それが、昨日目が覚めたら急に色が変わってしまって……似合わないでしょうか?」


「「「いや、全然!」」」


 恥ずかしそうに頬を赤らめて尋ねるセレディアに、男子生徒は即答した。珍しい髪と瞳を持ち、儚げに微笑むセレディアは神秘的かつミステリアスな雰囲気の少女だった。

 それはある種の高嶺の花であり、近寄りがたい雰囲気があったことは間違いない。


 しかし、髪と瞳が茶色に落ち着いた今のセレディアは笑顔も純朴な印象で、とても親しみやすい雰囲気を醸し出していた。

 クラスメート達に囲まれる中、セレディアの前にシエスティーナがやってきた。


「やあ、久しぶりだね、セレディア嬢。体調はもういいのかい?」


「シエスティーナ様。はい、もう大丈夫です。今日は今までで一番体調がいいかもしれません」


「ふふふ、それはよかった。また元気な君を見れて嬉しいよ」


「ありがとうございます。その、何度かお見舞いの打診をいただいたと聞いております。全てお断りすることになり申し訳ございませんでした」


「気にしないでくれ。さっきも言ったけど、こうやって元気な君を見ることができたのだから、何も問題ないさ。また、よろしく頼むよ」


「はいっ」


 セレディアはパッと華やぐ笑顔を浮かべた。これまでに見てきたどこか寂しげな儚い笑顔とは違う、安心できる微笑みであった。


「……何かいいことでもあったのかな。今日は笑顔が弾けているね」


「え? そ、そうでしょうか」


 ポッと顔を赤らめるとセレディアは両手で頬を覆った。その姿が可愛らしくて、男子も女子も『そうですとも!』と内心で叫んだ。


「そうだ、セレディア嬢。よかったら今度の週末、一緒に王都を散策でもしないかい?」


「週末ですか? えっと、申し訳ありません、シエスティーナ様。週末はその……父と観劇に行く予定がありまして」


「父君と?」


「えっと……はい」


 セレディアは少し恥ずかしいのか、頬を赤く染めて俯いた。シエスティーナはそれを微笑ましそうに見つめ、「分かった」と返す。


「父君と先約があるのでは仕方ないね。また今度誘わせてもらうよ。いいかな?」


「は、はい! また今度、誘っていただけると嬉しいです」


 セレディアは嬉しそうに微笑んだ。親しみやすいその笑顔に男子も女子も、クラスメート達は幸せな気持ちで魅了されるのであった。




 ちなみに――。


「レギンバース君。今日の放課後から期末試験の追試験を受けてもらうので忘れないように」


「は、はいっ!」


 ――どうやら留年の心配は必要なさそうである。




◆◆◆



「王立学園に流れ星が落ちたそうですわよ。うちのクラス以外ではこの話で持ちきりだとか」


「……まあ、落ちたといえば落ちたよな。うちのクラスはセレディア嬢一色だがな。銀髪じゃなくなるとか、マジでどういうことなんだ?」


 こめかみを強く押さえながら、クリストファーはアンネマリーを見た。彼女も同じく、こめかみを強く押さえながらクリストファーと目を合わせる。


「こっちが聞きたいわよ。本当に何がどうなるとそうなるのかしら……これは、セレディア様が聖女ではないという世界からの啓示? それとも……」


「はいはい。二人とも、現実逃避はその辺にして話を進めましょう」


 マクスウェルは二人を窘めると本題に入った。

 同日の放課後、昨日集まった庭園の四阿を再び訪れた三人は、昨日の出来事について話し合いを行っているのだ。


「タイラントマーダーベアが王立学園に現われたという事実を、他の生徒達に知られなかったことは不幸中の幸いでしたね」


 マクスウェルがそう言うと、二人もコクリと頷いた。


「休みだったこともあってタイラントマーダーベアを見た奴はいなかったが、空から落ちる一条の光は結構な目撃証言があったらしい」


「あれだけ目立てば仕方がありませんわ。ですが、おかげで流れ星が話題になってくれたのでこちらは魔物の件を容易に隠蔽できたのですけれど」


「タイラントマーダーベアを欠片一つ残さずに滅ぼしてくれたことも大きいですね。処分の必要がなかったので露見する可能性は著しく低下しました」


 マクスウェルの説明に、アンネマリーが首肯して続けた。


「知られていれば、今頃学園は閉鎖されていたかもしれませんわね」


「まあ、実際に俺達も小聖女が来てくれなかったら四人がかりでも厳しかったからな。いやあ、あの時は本気で死ぬかと思ったね」


「わたくし達ももっと精進しないといけませんわ。このままでは聖女の足手まといですもの」


「これでも結構鍛えてんだけど、現実って厳しいわぁ」


 クリストファーはこれ見よがしにため息をついた。そして、二人に問い掛ける。


「あのさ、二人に聞きたいんだが……タイラントマーダーベアを倒した後って、どうなったか覚えてるか?」


「いいえ、まったく」


「俺もだよ。気が付いたら地面に倒れていたね」


「だよなぁ……」


 小聖女の隕石のような魔法でタイラントマーダーベアが倒されたところまでは覚えている。しかし、それ以降が全く思い出せなかった。

 もちろん、メロディが王都全体に使った魔法『よき夢を』の影響である。唯一の救いはタイラントマーダーベアとの戦いが、セレディアの結界が張られる前の出来事であったことだろう。


 これが結界の中で起きた戦いであれば、彼らはそれさえも忘れていた可能性が高い。

 不幸中の幸いであるのだが、彼らがそれを知るすべはないのであった。


「それで、シエスティーナ様からは何も言ってきてないんだよな?」


「ええ、特に何も尋ねられていませんわ」


「どういうつもりなのでしょうね」


 三人はため息をついた。


 彼らが目覚めると、そこにシエスティーナの姿はなかった。自分達より先に目を覚まして、その場から立ち去ったと思われる。

 しかしその後、彼女が魔物の件を吹聴することもなければ、こちらに尋ねてくることもなかった。

 今のところ目的は不明である。


「こっちからは聞きにくいよなぁ。変に関わることになるとさらにややこしい」


「ですが、きちんと説明すれば王国への侵攻を思い留まってくれる可能性も」


「我々の活動が何かに利用される可能性も十分考えられますけどね」


 三人は再びため息をついた。


「はぁ、シエスティーナ様には『不思議な雑貨屋』へ道案内をお願いしたかったんですけど」


「しょうがねえよ。しばらくは様子見だ。幸い、雑貨屋が必要な要件はどうにかなったわけだし」


 小聖女が用意してくれたリフレッシュキャンディーのおかげで、アンネマリーの魔法封印は無事解除された。慌てて雑貨屋を目指す必要はなくなったのである。


「しばらくは色々お断りしていた社交を補う必要がありますから、雑貨屋捜しはまた今度ですね」


「魔王対策だけに集中できないところが貴族子女の悲しい運命ですわ」


「大げさだなぁ」


「……公務で一番自由がない人が何を言っているのやら」


「うっせえ!」




◆◆◆




 同日の午後、ルトルバーグ邸にて。セレーナとマイカは洗濯物を取り込んでいた。

 今日は十二月にしては天気がよく、マイカの額から汗が流れる。


「セレーナ先輩、こっちの取り込み終わりました!」


「ありがとう、マイカさん。こっちのシーツの取り込みを手伝ってもらえるかしら」


「はーい!」


 マイカはトコトコと近づき、セレーナと一緒にシーツを取り込む。大きいので二人でやった方が作業がしやすいのだ。


「助かるわ、マイカさん。洗濯物の取り込みが終わったら一緒に魔法訓練をしましょうね」


「はい、お願いします!」


 小聖女として密かに王都の治安を守ってきたマイカだが、その力を使い切ったところ、なぜか変身せずに使えていた『灯火』の魔法が使えなくなっていた。

 『魔法使いの卵』に溜められていたメロディの魔力がなくなったせいだろうか。原因が分からずマイカはガッカリしてしまうが、同時に、メロディが魔法を取り戻すことができたので、束縛から解放された気分でもあった。


 ちなみに、メロディとルシアナは昨日の今日でしっかり王立学園に登校している。なかなかタフな二人である。


「ガルム、私達はここからリスタートだよ! 頑張ろうね!」


「わひゃん!」


 洗濯物を取り込むマイカにずっとついて回っていたガルムは、楽しそうに鳴いた。

 洗濯かごを持ったマイカは屋敷の方へ走り出した。



「ふふふ、マイカさんはいつも元気ね」

 微笑ましい光景に思わず笑みが零れるセレーナ。


 庭ではリュークが雪囲いの準備を始めていた。まだ材木を用意できていないので、それぞれの木に合わせた設計図を作成しているところだ。


 セレーナは空を見上げた。山の向こうから分厚い大きな雲がゆっくりと王都に向かって近づいているようだった。


「雪が近いのかしら。リューク、雪囲いは間に合いそう?」


 そう尋ねながらセレーナはリュークの方へ歩き出した。

 積雪を心配する素振りを見せつつ、心のうちでは世界が白銀に染まる瞬間を目にしてみたいとも、どこか期待してるセレーナであった。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

WEB版に加筆修正されたオールワークスメイド小説第8巻は、10月10日(金)発売予定です。

よろしくお願いいたします。


アニメの追加情報はまだないんですよね。早く出ないかなぁ。

5月に「アニメ化決定!」の情報が解禁された後も、原作者としていろいろ監修依頼を受けております。追加情報が解禁されたらお知らせしますね。

アニメの公式Xアカウントもあるのでよかったらフォローお願いします。

そういった点からも作品を盛り上げ、応援していただけると嬉しいです。


アニメ放送まではオーディオブックを楽しんでいただくのもありだと思います。

最新第4巻は2025年12月25日配信予定です。

まだ聴いたことがないという方はぜひ一度お試しください。

声優さんの演技にびっくりしますよ! よろしくお願いします。


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― 新着の感想 ―
ようやく父親が空回りから解放されて良かった。 ただ、いよいよレクトが道化というか、作中の扱いの割に良いとこなしというか、このままフェードアウトさせた方が良いくらいに魅力が無いというか……思い出したか…
大変楽しく最後まで読むことができました。 偶然が伏線となり何故かつじつまが合って誤解したまま納得させてしまうようなくだりは思わず「お見事!」と思いました。 ところで最終局面でお嬢様がマイカちゃんから預…
結末はとても良いと思います。 戦闘に関しては、メロディの設定自体がチート級なので、 あまり詳しく描写すると逆に不自然になる気がします。 物語の終わりを家族の絆に焦点を当てたのは素晴らしい視点です。 一…
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