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【アニメ化決定】ヒロイン?聖女?いいえ、オールワークスメイドです(誇)!  作者: あてきち
番外編

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ままならないホリデートーク

 広い部屋にクスクスと少女の笑い声が響く。侯爵令嬢アンネマリーは、ソファーに仰向けになって寝転がりながら本を広げていた。何か面白い小説でも読んでいるようだ。


 ソファーのそばに置かれたローテーブルには氷がたっぷり入った果実水のグラスと、自作したと思われるポテトチップが入ったお皿が置かれており、アンネマリーは本を読みながらそれらを口にしていた。ポテチ用のトングまで用意して、寛ぐ気まんまんである。


 ちょっとだらしないが、彼女が元日本人の女子高生の転生者であることを考えればありえない光景とは言えないだろう。


「……俺の部屋じゃなかったらな」


 クリストファーの私室にて我が物顔で寛ぐ幼馴染へと、彼はジト目を向けていた。


「しょうがないじゃない。私の部屋でこんなことしてたらクラリスがうるさいんだもの。たまの休みくらい好きにさせてほしいわ。お小言はやめてよね、お母さん」


「誰がお母さんじゃい!」


 そうツッコむクリストファーだが、彼の前にはアンネマリーから差し入れられたポテトチップが入ったお皿が置かれており、それは彼女がこの部屋で寛ぐための賄賂であった。


(ぐぬぬ、ポテチなんて受け取らなければ……でも、久しぶりに食べたかったし!)


 料理ができないクリストファーがポテトチップを食べられる機会はほとんどない。料理人に頼めばいいと言えないところも難点だった。


 ポテトチップが美味しいことは間違いない。しかし、あまりにもシンプルで見た目も簡素なために、王太子に出せるお菓子として王城の料理人に受け入れてもらえないのだ。


 格式が邪魔をして気軽に食べられない幻のお菓子。クリストファーにとってポテトチップはそんな位置づけになってしまっていた。


 大きくため息をつき、クリストファーはポテトチップを食べた。パリッとした食感が心地よい。振りかけられた塩のバランスも自分好みで、意識しなければあっという間に食べ尽くしてしまいそうだ。


 ちなみに、ポテチの味はあくまでアンネマリー好みで決めている。この二人、結婚する気はまったくないのだが、味付けの好みはとても似通っていた。


 周囲に誤解を生む原因のひとつである。


「うまぁ……」


 ポテチを咀嚼しながら、郷愁の念が込み上げてくる。


(懐かしい……よくポテチ食いながらゲームしたっけ。コントローラーが汚れるからやめてって舞花がいつも怒って……ああっ)


 そしてクリストファーは思わず願望を零した。


「……久々に格ゲーやりてぇ」


 何となく心にじわぁっとくるような言い草であった。静かな部屋に響いたクリストファーの声はもちろんアンネマリーにも聞こえていた。胸の上に本を下ろし、クリストファーへ顔を向ける。


「分かるわぁ。私も時々新作の乙女ゲームやりたいって思っちゃうもの」


「だよなぁ。ああ、くそ! 死んでなかったら今頃どんなゲームが出てたんだろうな」


 そして、彼は何か思い付いたらしい。クリストファーはアンネマリーに尋ねた。


「なあ、この世界の魔法で格ゲーって作れないかな?」


「魔法でゲームを?」


「この前、魔法で花火を打ち上げただろ。光属性魔法であれができるんだから、頑張れば映像を投影したりも出来るんじゃないか? 音声だって花火の応用でできねえかな」


「それは……」


 学園舞踏祭にて、クリストファーとアンネマリーは花火の魔法を披露した。クリストファーが光属性魔法で花火を作り、アンネマリーは風属性魔法で花火の音を再現したのだ。


 それらを応用すればテレビゲームのようなものを作ることはできないだろうか。


 しかし――。


「少なくとも、現時点では無理ね」


 ――アンネマリーの答えは『否』であった。


「やっぱり難しいか?」


「頑張ればアニメみたいな映像作品くらいはできそうだけど、ゲームとなると厳しいわ。実現するにはコンピュータープログラムを魔法に落とし込む知識と技術が必要だし、私達がゲームとして楽しむにはそれを魔法道具として設計、作製する能力も求められるはずよ」


「いや、うん、分かった。そんな奴――」


「そうよね、そんな人――」


「「いるわけない」」


 二人はゆっくりと首を横に振り、残念そうにため息をついた。


「そもそもそんな強キャラいたら魔王対策手伝ってもらうし」


「ホントそれよねぇ」


 世の中本当にままならないと愚痴りながら、揃ってポテトチップを頬張る二人なのであった。




◆◆◆




「うーん……パソコン、作っちゃおうかな……いや、ダメダメ。家計簿は手書きだから楽しいのよ。何でもかんでも楽をすればいいってものじゃないわ。ストップ・デジタル化!」


 コンピュータープログラムを魔法に落とし込む知識と技術を持ち、それを魔法道具として設計、作製することが可能なメイド少女は、形から入るアナログ派であった。


アルファポリスにてあてきちの原作作品

『最強の職業は勇者でも賢者でもなく鑑定士(仮)らしいですよ?』

コミック10巻が本日より出荷開始されました。

近日中に書店に並ぶ予定です。電子書籍版は本日より注文可能です。

未読の方はぜひ1巻からお試しいただけると嬉しいです。

アルファポリスやピッコマのホームページで数巻分無料でお読みいただけます。

よろしくお願いします!

【鑑定士(仮)コミック10巻】

https://www.alphapolis.co.jp/book/detail/8037905/12258

【アルファポリス】

https://www.alphapolis.co.jp/manga/official/648000181

【ピッコマ】

https://piccoma.com/web/product/69524?etype=episode

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メロディさん万能過ぎでは!? 電卓くらいは作っても良さそう
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