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番外編「精霊魔術と詠唱について」

本編で解説する隙間がなかった精霊魔術について解説するだけのおまけパートです。

フィーネ「今回は、私の『精霊魔術』について解説していくわ」


悠真「なんでまた突然……いや、たしかに気にはなってたんだ。俺たちが使ってる普通の魔術とは、また違うものなんだよな?」


フィーネ「そうよ。『精霊魔術』とは――その名のとおり、精霊の力を借りる特別な魔術の総称で、この魔術には『精霊言語』と呼ばれる特殊な言葉を用いた詠唱が必要不可欠なの」


悠真「それって、フィーネが詠唱のときに言ってる『ウィル』とか『ヴィレ』って単語のことか?」


フィーネ「そのとおり。精霊は本来、言葉での意思疎通を必要としないわ。彼らはマナを使って、直接自分の意思を相手に伝えることができる存在よ。だから彼らにとって、私たち人間が用いる言語はとにかく無駄が多くてわかりにくい。『火を起こして』とか、『水を出して』みたいな短文でも、精霊からしてみれば知らない言語の長文に聞こえるのよ」


悠真「なるほど。だからわかりやすく端的に伝えるための手段が必要で、それが『精霊言語』と呼ばれる特殊な言葉ってワケか」


フィーネ「そういうこと。『精霊言語』のルールはふたつ。ひとつ、‟一度の詠唱に単語は三つまで”。ふたつ、‟複数の指示を出さない”――これだけよ」


悠真「ひとつ目はなんとなくわかるけど、ふたつ目はどういうことなんだ?」


フィーネ「ようは精霊に複雑な命令をしてはダメってこと。例えば、『火球を打ち出して数秒後に空中で爆発させる』、みたいな命令は精霊には理解できないわ」


悠真「えっ、じゃあどうするんだ?」


フィーネ「自分で制御すればいいのよ」


悠真「……えっと、つまり?」


フィーネ「実際に私が使ってる魔術を例に解説しましょうか」


 ――ウィル・ヴィレ・シィーラ。祈り、施し、差し伸べ給え! 《堅牢なるは我が隣人ファイアリッヒ・ガイスト》!


悠真「これはフィーネが使ってた魔力障壁を作り出す魔術だな」


フィーネ「『精霊言語』の部分を要約すると、〈お願い、彼(彼女)を守って〉という意味になるわ。後ろにくっついてる詠唱が、それを制御するための術式よ」


悠真「おぉー、なるほど……『精霊魔術』は、フィルフィーネと精霊が協力してひとつの魔術を発動させてるって感じなのか」


フィーネ「そうそう。もちろん熟練の魔術師なら、自分の力だけで同じことができちゃうでしょうけれど、私の場合は精霊の力を借りるほうが安定するわ」


悠真「出力と制御を分担してるんだもんな。たしかに、そっちのほうが良さそうだ」


フィーネ「でも、そんなにいいことばかりってわけでもないのよね。精霊との相性の問題もあるし、そもそも精霊がいない場所では使えない。メルセイムに比べて、こっちの世界は精霊たちの数が少ないから……私も本調子とは言いにくいのよね」


悠真(あれだけ強くて本調子じゃなかったのか……)


フィーネ「――というわけで、私の魔術の詠唱にどんな違いがあったのか、気になる人は読み返してみてね!」


悠真「突然のメタ発現……ん? ちょっと待った。ならあの金色の鷲を呼び出してた魔術は……?」


フィーネ「《猛然たる鷲グランディオーソ・アードラ》のこと? あれは私のオリジナル。『精霊魔術』じゃないわよ」


悠真「……マジで?」


フィーネ「マジで」


悠真「……魔術って、奥が深いんだな……」

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