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第百十一話 いざ謁見へ

 しばらくして、俺は王宮に到着した。

 まずは門番に会う前に、謁見の間と思われる部屋の上空に移動し、部屋の中の人を対象に《鑑定》を発動する。


 国王が「永久不滅の高収入」の支配下にあるとなると計画が根本的に崩れるので、一応そうでないことだけ確かめておくためだ。

 鑑定の結果、とりあえず国王はシロのようだった。


 一応このまま屋根を突き破るか部屋前の門番を倒して扉を開ければ即国王に会えるが、流石にそこまではしない。

 強行突破をすると心象が悪くなり、誤解を解くのに余計な時間がかかってしまうので、あくまでそれは最終手段だ。


 俺は王宮正門まで飛んで移動すると、早速門番に声をかけた。


「マイズ元帥と共に依頼を受けていた者です。大至急国王陛下に会わせてください」


 そう言いつつ、俺はイフリートから奪った徽章を取り出して門番に見せる。


「こ、これは確かに元帥の……少々お待ちを!」


 異常事態に動揺してか、俺は特に深い追及は受けることなく、門番はそう言って走り去っていった。


 移動速度に差があるとはいえ、イフリートだってここに帰ってくるまでにそう時間を要さない。

 この時間すら待ち遠しいな……。

 ……そうだ、今のうちにジーナにアレでもお願いしておくか。


 俺は紙にとある魔法陣と『至急これを刻印してください』という伝言を記し、魔石とともに『クラウドストレージ』に送った。

 今回作ってもらうのは、「製作者証明」という魔道具。

 本来の目的は魔道具の作り手を特定する魔道具なのだが、失敗作の神竜もある意味知的魔物の「作り物」であるため、この魔道具で製作者を特定できるのだ。


 この魔道具による特定は、製作者の確固たる証拠となる。

 仮に国王がマイズ元帥を篤く信頼していたりして、イフリートが制作を否認して国王がそれを信用しそうになったとしても、ダメ押しの証拠として活用できるのだ。

 ここまでする必要はおそらくないだろうが、切り札はあればあるだけ安心なので一応頼んでおくことにした。


 そうこうしていると、門番が走って戻ってきた。


「お待たせいたしました! 念のため、お名前お伺いしてもよろしいですか?」


「ジェイドです」


「かしこまりました。確かにあなたが本日マイズ元帥と共に任務に就いている冒険者様ご本人でお間違い無いですね。陛下にお伝えしたところ、今すぐ来てほしいとのことでしたので、お入りください!」


「ありがとうございます」


 無事謁見の許可が取れたので、俺は《飛行》で謁見の間に向かって飛んでいった。

 ここまでは順調。《サーチ》にも、まだイフリートの反応は映っていない。


 あとは、国王が話の分かる人であることを願うばかりだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 魔方陣大量に覚えてるなんて凄いよなぁ·· 次回イフリートは間に合うのかぁ!?
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