53 夜襲の巻き
更新された忍チューバ―の竹島レポートを見た者達の声は、いまのところ半荘に届かず、日も暮れていたので、ジヨンとは別々の部屋にて眠りに就いた。
その深夜……
半荘はガバッと起きて、いそいそと忍び装束に着替えて外に出る。
「ふぁ~……夜ぐらい寝かせてくれよ~」
あくびと愚痴を吐いた半荘は、海岸まで走って身を潜め、闇夜に紛れる。
そのしばらく後、ライトの光が水面を照らした。
「やっぱり来たか……」
ボートだ。
竹島に向かい、ボートが進んでいる。
半荘は忍者の勘で危険を察知し、ボートの到着場所にやって来たのだ。
ボートは竹島に近付くとエンジンを切り、手漕ぎに変えていたが、エンジン音から半荘に察知されていた。
そんな事に気付かず、乗組員は岸近くまでボートを近付け、二人が海に飛び降りると、ボートを引っ張って岸に上がろうとする。
「よう。こんな夜更けに何してるんだ?」
わざわざ声を掛けた半荘。
『どこだ!?』
ボートの乗組員は韓国語で叫び、ライトを右往左往と照らし、半荘を見付けると自動小銃を構える。
「韓国兵か~。日本だったらよかったのにな~」
『目標だ! 撃て! 撃て~!!』
韓国兵は焦って自動小銃の照準を半荘に合わせるが、半荘はもうそこにはいない。
海を走り、回り込んでボートに乗っている。
そして三人の韓国兵に手刀を当てて、瞬く間に意識を刈り取る。
残りの二人は半荘を探しながら岸に上がるが、一人は戻って来た半荘の手刀で意識を奪われた。
「残りはあんただけだ」
ドサッと人の倒れた音で振り向いた韓国兵は、半荘の言葉の意味が伝わらない。
『おい! お前達!!』
自動小銃を構えて仲間の安否を確認するが、誰の反応も無い。
『やられたのか……くそ~!』
韓国兵はやぶれかぶれに自動小銃の引き金を引き、「パパパパ」と銃声が鳴り響く。
「なんだ。日本語は通じないんだ」
半荘は残念そうに呟き、銃弾をよけながら接近して自動小銃を奪い取り、海に投げ捨てる。
韓国兵は腰の銃を抜こうとするが、半荘に摺られたあとだったために空振り、他の武器に手を掛けようとしても、投げ捨てられて「ガチャン、ガチャン」と音がしたあとであった。
「武器はもう無いぞ」
身体中の武器をまさぐる韓国兵に、声を掛ける半荘。
『なんでないんだよ!!』
わけのわからない展開に、喚き散らす韓国兵。
覚悟を決めて半荘に殴り掛かるものの、カウンターパンチを十発ほどもらってグロッキー状態になってしまった。
半荘はその韓国兵の両足と片手にロープを巻き付け、担いでボートに乗せる。
残りの韓国兵も、ボートに乗せてロープで身動き取れなくすると、グロッキー状態の韓国兵に指示を出す。
「ゴーね? ゴーゴー。ゴーホーム。オーケー?」
片言の英語であったが、韓国兵は頷く。
なんとか確認を取れたと感じた半荘は、エンジを始動して西に向けてフルスロットル。
ボートを見送ってから、基地へと戻るのであった。
それから二時間後、半荘はまた飛び起きて海岸に走る。
そこで、ボートを漕ぐ水音を頼りに接近し、接岸前に一人を残して意識を刈り取った。
「味方だ! 日本人だ!!」
突如襲われたボートに乗る者は、日本語で話し掛けて来たので半荘は驚く。
「マジで?」
「ほら、日本語が上手いだろ?」
「まぁ上手いとは思うけど……名前は?」
「えっと……ホンダ」
「……下は?」
「下って??」
「ホンダ(仮)、アウトー!!」
自信無く名字を口にした男を疑った半荘の正解。
韓国兵は咄嗟に本田と言えたのだが、日本の名前の尋ね方まで知らなかったので偽物と確定されてしまい、数発殴られて韓国艦隊に無理矢理戻らされるのであった。




