表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忍チューバー 竹島奪還!!……する気はなかったんです~  作者: ma-no
肆 滞在

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/94

26 憐れみの巻き


「盗人猛々しいって言うけど、俺からしたら、韓国のほうが盗人に見えるんだけどな」


 ジヨンが口ごもる中、半荘は畳み掛ける。


「話が決着しそうになったら、ゴールポストをずらす。政府が決められない事は、自分で洗脳した民意に丸投げ。最高裁は日本の事になると機能しない。一度決めた事も平気で覆す。てか、勝手に財団を解体したんだから、10億、返してくんない?」


 半荘の捲し立てる言い方に、ジヨンは下を向いてしまった。

 そうして半荘が勝ち誇った顔で見ていると、ジヨンの肩が小刻みに揺れる。


「あ……」


 言い過ぎて泣かしてしまったと思った半荘は、手を伸ばして慰めようとしたが、ジヨンに「バシーン」と弾かれてしまった。


「あ~~~! もう!!」


 そして、怒りの表情で机を叩いて立ち上がったジヨンは、早口で捲し立てる。


「そうよ! あの国はおかしいのよ!!」


 そこからは愚痴だらけ。

 必死で勉強して、いい大学に入っても就職先は無い。

 大企業に就職しても、上に吸い上げられて給料は安い。

 日本の製品を好んで使うくせに、不買運動なんて馬鹿げた事をして自分の首を絞める。

 政府は嘘で嘘を本当にしようとして失敗だらけ。

 その上、不正に汚職になんでも御座れ。


 なのに民衆は政府に怒りをぶつけずに、日本に向かって拳を振り上げる。

 操作されている事にすら気付かずに、デモに参加する馬鹿な民衆。

 日本の味方をしようものなら吊し上げられる。

 などなど……


 終わらない愚痴に、半荘は聞いている振りを続けるしかなかった。



 そうしてジヨンは息を切らして、椅子にドサリと腰を落とした。


「えっと……なんかすみませんでした!」


 ようやく愚痴の止まったチャンスに、半荘は憐れみからか、口喧嘩には勝ったのに頭を下げる。


「ハァハァ……やっぱり過去の話はやめましょう」


「だな」


 何も解決はしなかったが、ひとまず握手を交わすジヨンと半荘であった。



 半荘は喉の渇いたであろうジヨンのために、ペットボトルを渡して飲むように促し、ジヨンも礼を言ってグビグビ飲んでから、話を再開させる。


「それにしても、あなたは日本人なのに、歴史に詳しいのね」


「まぁ学が無いからな。せめて話題のニュースぐらいはついて行こうと必死なんだ」


「学が無い? 大学へは??」


「行ってないぞ」


「うっ……そんな人に負けたなんて……」


「俺達の勝ち負けなんて、どうでもいいだろ。それより、日本に来るって事でいいな?」


「う~ん……」


 半荘の問いに、ジヨンは考え込んで、数秒後に口を開く。


「そんな事をしたら、私が韓国に帰れないわ」


「あ~……日本に島を売った極悪人になるのか……」


「たぶんね」


「じゃあ、日本に帰化しちゃえよ。祖国が気に食わないんだろ?」


「そんなに簡単にはいかないわよ」


「俺と結婚したら、一番手っ取り早いだろ?」


「結婚??」


 半荘の結婚発言に、ジヨンはキョトンとしてしまう。


「偽装結婚だ。確か、それで国籍が取りやすいって聞いたぞ」


「あ、そういう事ね。てっきり、私に気があるかと思ったわ」


「それもありか……」


「なんで乗り気なのよ!?」


 自分で言い出した事なのに焦るジヨン。

 さらに半荘は恥ずかしい事を言う。


「だって、お姉さん美人だし、こうやって女性と二人きりで話したのも初めてだから、ちょっとドキドキしてる」


「う、うん。ありがとう……」


 褒められて照れるジヨンは礼を言うが、ひとつ気になる事があるようだ。


「二人きりが初めてって……彼女はいた事ないの?」


「そうなんだ。モテるほうだと思うんだけど、ちょっと怖くてな。いまだに童貞だよ」


「あ、そう……」


 半荘のカミングアウトに、憐れみの目で見て、こいつは無いなと思うジヨンであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ