25 口喧嘩 其の二の巻き
「日本がやった事って言われても、その時代では普通じゃないのか? その時代の法律で話し合うべきじゃないか?」
なかなか話し合いが噛み合わないので、半荘は熱くなり掛けたジヨンに、冷静に語り掛ける。
「20万人もレイプしたんだから、その時代でもアウトよ」
「従軍慰安婦か……どこの軍でもやっていたって聞いたぞ?」
「組織的にしたのは日本だけよ」
「いや、組織的にやらないとダメだろ?」
「なんでそうなるのよ!」
半荘の発言で、ジヨンはテーブルを叩く。
「だって銃を持った男達の集団なんだぜ? たかが外れてレイプするような輩も出て来るって」
「韓国軍は、そんな品性の無い事はしないわ」
「してたぞ」
「え?」
「ライダイハンって知らないのか?」
具体的な名前が出ると、ジヨンは難しい顔になった。
「ライダイハン? 聞いた事はあるけど、詳しく知らないわ」
「じゃあ、教えてやる。ベトナム戦争の際に、韓国軍が現地で女性をレイプして生まれた子供の事だ。日本でも話題に上がっていたぞ」
「そんな事は…ないはずよ……」
「日本が酷い事をしたとは教えるくせに、自国の事は教えないんだな」
「仮にしていたとしても、韓国政府は謝っているはずよ!」
「認めてもいないけどな~。日本は、従軍慰安婦ってのがあったと認めてるだけマシじゃね?」
「………」
声を大きくして反論したジヨンは押し黙る。
「そもそも、日本軍の関与は、移送と建物、衛生面の管理だけであって、拐って来てどうこうじゃないんだぞ」
「いえ、拐ったと証拠があるわ」
「それはキーセンだろ? 初めて告白した人は、最初はキーセン学校に入れられたって言ってたのに、いつの間にか日本軍に騙されたとなってたじゃないか」
「そうよ! 日本軍に騙されたのよ!」
なんとか反論するジヨン。
ヒステリックな声になるが、半荘は冷静なまま喋り続ける。
「なんでそんな事をしなくちゃいけないんだ? 銃を向ければ一発だろ?」
「くっ……日本政府に残っていた資料で、慰安婦を集めるように指示を出していたわ。これはどう説明するのよ!」
「あ~……全文読んでないんだな」
「全文?」
「朝野新聞は、自分の思想の都合のいい所だけ詰まんで出したんだ。内容は、女性が望まずに慰安婦にさせる業者がいるから、そういう奴とは取り引きするな……だったかな?」
「え……」
朝野新聞の捏造記事を初めて知ったジヨンは、驚いた顔になる。
「そもそもだけど、20万人って、その時代の朝鮮に住む若い女の半分以上になるけど、みんな日本軍が連れ去るところを黙って見てたの? 日本軍に入った男も居ただろ?」
「応戦したと思うわ……」
「じゃあ、慰安婦よりも、その人達の慰霊碑が至る所にあってもおかしくね?」
「ちょ、徴用工に連れて行かれたから、男が居なかったのよ!」
自信なく応戦したと答えたジヨンは、旗色が悪いと思ったのか、別の可能性で否定しにかかる。
「また話をすり替える……」
「女は性奴隷にし、男は労働奴隷として安い給料で働かされていたんだからね!」
「まず、慰安婦は、日本兵より給料が何倍も高かったからな?」
「徴用工の話をしているのよ!」
「あ~。はいはい。徴用工ね」
「反論してみなさい!!」
ひょうひょうと答える半荘に、ジヨンは怒鳴り付けた。
「若い日本人工夫は、戦争に行ったから居ないだろ? 残るはベテラン工夫になるわけだ。そこにアルバイトが来たら、同じ給料になるの?」
「ならないけど……安すぎるわ」
「ベテラン工夫と比べてだろ。さらに言葉が通じないとなると、単純労働に回すしかないから、さらに給料は安くなるだろうな。それでも、一攫千金を手にして帰った人もいたんだから、妥当な給料だったんじゃないか?」
「で、でも、未払い給料だってあるんだからね!」
ジヨンの反論に、半荘は頭を掻きながら答える。
「それ……韓国政府に言ってくんない? 日本は、韓国の国家予算より高い額を払ったんだからな」
「請求権協定でしょ? その協定も、立場の弱い韓国は断れなかったのよ」
「いや、個別賠償を断って、経済に回したんだから、その利益で還元するのが筋じゃないか?」
「あとから出て来た問題は、話し合うって事になってたじゃない」
「徴用工は、その場で話し合っていたよ。その資料が、最近韓国から出て来たから、金を払いたくない政府が日本に責任転嫁しただけだろ」
「ち、ちが……」
自信なく否定しようとしたジヨンの言葉に、半荘は自信ありげに被せる。
「あとから出て来た問題は、従軍慰安婦だけだ。それも10億払って解決した」
「解決なんてするわけないでしょ!」
「そりゃそうだ。韓国は日本と話し合う事もせずに、勝手に財団を解体したもんな」
「それは……日本が悪いから……」
半荘に論破せれていくジヨンは、どんどん声が小さくなっていくのであった。




