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親友に裏切られ婚約者をとられ仕事も住む家も失った俺、自暴自棄になり放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました  作者: 空地 大乃
第二章 冒険者登録編

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第79話 放置ダンジョン以外の探索は初めてなわけだが

 さて、こうして始まったダンジョン探索なわけだけど、暫くは特に何かに出会うということもなく横穴を進み続けることになった。


 もっともただの一直線の道ということもなく、蛇が蠢いたようなウネウネとした横穴となっていた。


 隊列としては熊谷が先頭を進んでいた。盗賊のジョブ持ちの彼は気配に敏感らしく罠にもすぐ気付ける。


 斥候役としてはピッタリなのだろう。その後ろには中山だ。筋肉術師の彼はこの中では一番戦闘力が高いと思うし前にいるだけで安心感が違う。


 更に少し距離を置いて俺とモコとマールだ。ちなみにラムは俺の肩に乗っている。


 俺の後ろには愛川が更に後ろに香川さんといった順番となっている。彼女はあくまで見守り役に徹するようだから、一番後ろからついてきているのは当然と言えるかな。


 愛川は戦闘もこなせそうとは言っていたが、貴重な回復役だから後ろに控えて貰うのが無難だろうな。


 曲がりくねった横穴を進み続ける俺たちだが、ふと熊谷が足を止めた。


「なにか感じる。こっちに来るぞ!」


 熊谷が叫ぶと同時にバッサバッサと翼を動かしているような音が聞こえてきた。


 音は複数聞こえ段々と近づいてきたわけだが。


「「「キィキィ!」」」


 姿を見せたのは蝙蝠だった。ただサイズが大きい。俺の記憶にある蝙蝠と比べたら倍以上はあるだろうか。それが三匹現れたのだ。


 そして蝙蝠は一斉に俺たちに向かってきた。


「上等だ! やってやるぜ!」

 

 言って熊谷が手持ちのナイフを投擲。見事に一匹に命中し地面に落っこちた。


「キィ!」


 残りの二匹の一匹は中山に向かっていき爪で中山の体を引っ掻いた。だが鍛え上げられた中山の筋肉を傷つけるには切れ味が足りなかったようだ。


「もっと鍛えてから来るんだな」

「ギビィ!?」


 結局中山に掴まれそのまま握りつぶされていた。う~ん大した握力だよ。


「ワォオォォオン!」


 一方でこっちに向かってきた最後の一匹はモコの飛び蹴りを受け見事に撃沈した。着地と同時にモコが決めポーズを見せた。これは俺の出番はないな。モコは段々と頼りがいが出てきている気がする。


「キャァ~モコちゃん格好いい!」

「やるな! くそぉ、カッコ可愛いとか最高かよ!」


 モコの活躍を見ていた愛川から歓声が上がり熊谷も鼻息を荒くさせながらモコを褒めていた。モコは戦う姿を褒められたのが嬉し恥ずかしいのか頭を擦りながら照れていた。そんな姿もとても愛らしい。


「やるな! モコには筋肉の素質があるぞ。そうだ! 今度プロティンをわけてやろう。そして一緒に筋トレして美しい筋肉を作ろうじゃないか!」

「ワン?」


 中山がモコに近づきそんなことを提案していたが、自然と脳裏にムキムキになったモコの姿が浮かび上がった。


「それは断る!」

「うぉ! なんだ突然。どうしたというのか?」


 俺が叫ぶと中山がたじろいていた。だが当然の主張だ! 


「それはないぜ中山さんよぉ。そんなことは俺の目が黒いうちは絶対に認めないぜ!」

「この可愛さあってのモコちゃんだよ。それを奪わないで!」


 モコに筋肉をつけるという中山の提案は満場一致で否決された。中山はいい男だとは思うがこればかりは譲れないのである。


「む、むぅ――」


 中山は唸り声を上げながら困ったように頭を擦った。まさかここまで拒否感を示されるとは思っていなかったのかもしれない。


 ちょっぴり気の毒に思えたけど、そこは本当納得して欲しいところだ。


「茶番はそこまでにしてください。ダンジョンが危険だという認識は常に持っていてくださいね」


 香川さんから釘を刺されてしまった。確かにまだ一回戦闘をこなしただけなのにちょっと浮かれすぎていたかも。


「それでは倒したモンスターを解体してみてください。道具が必要ならこれをどうぞ」


 言って彼女が何本かナイフを取り出した。香川さんの腰には袋がぶら下げっていてそこから出したようだ。魔法の袋という物だろうか。


「この蝙蝠の場合は飛膜、爪、牙が素材となります。これらは持ち帰ればギルドに買い取ってもらうことが可能です」

  

 香川さんがそう教えてくれた。この講習では解体方法も教わる感じか。


 熊谷は手持ちのナイフで解体を始めているな。他は俺も含めてナイフを借りて解体に挑戦した。


「そこはもう少し丁重に」

「うぅ、難しいかも~」


 こういった作業がそもそも慣れていないのか愛川は苦戦していた。中山と熊谷は器用にこなしている。


「手伝うよ」

「あぁ救世主さま~」


 蝙蝠は三匹だったので俺は愛川の手伝いをすることにした。キャンプでの経験が少しは活きたようでわりとすんなり解体出来たな。


「すごい。やるねぇ風間さん」

「ワオン!」

「ピキィ~!」

「マァ~♪」


 愛川や皆に褒められて悪い気はしなかった。ちなみ最後の方は愛川に教えて彼女に締めて貰うことにした。


「これで素材の回収は完了です。それでは先を目指しましょう」


 香川さんに言われ俺たちは再び移動を開始した。解体した素材に関しては彼女が一旦預かるようだ。ここで手に入れた素材はギルドで買い取り、後で俺たちに支払われるそうだ。


 思わぬとこで収入が入りそうでちょっとテンションが上ってきた。頑張って探索を続けないとな。

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― 新着の感想 ―
可愛い顔して首から下がムキムキのパツンパツンな姿モコを想像してください しかもサイドチェストをしながら近寄ってくる姿を… 嫌すぎる……
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