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親友に裏切られ婚約者をとられ仕事も住む家も失った俺、自暴自棄になり放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました  作者: 空地 大乃
第二章 冒険者登録編

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第75話 講習はダンジョン探索

「このダンジョンには五人一組で入ってもらいます。ただし最後だけは一人足りないですので四人一組となります。それぞれの探索には私が同行し、その間は他の職員に見ていて貰います」

 

 香川さんからはそんな説明を受けた。さっきの試合もそうだったけどあの於呂がいなくなった分、一人足りなくなるようだ。


「今回はダンジョンの攻略を終わらせるのが目的ですか?」

 

 なんとなく俺はそんな質問をしていた。難易度が低いと言っていたけど、ダンジョン攻略となればそれなりに時間が掛かりそうだし気になったのだ。


「一組あたりに制限時間を設けますので攻略は必須ではありません。それぞれの探索時間は一時間程度を予定してます」


 なるほど。ダンジョン探索は全部で四組で行うから大体四時間で終わる感じか。


「おっとここだねぇ。はい持ってきたよ」


 それなりに年齢がいってそうな声を背に受けた。振り返ると左右に飛び出たような灰色髪の男性がやってきていた。年齢は五十代から六十代といったところかな。背中には武器がびっしり積み込まれた籠が背負われていた。


「徳さんありがとうございます」

「いいってことさ。さぁダンジョンに行くなら武器は必要だろう。この中から好きなの選ぶといいさ」


 大きな籠を地面に下ろしてから徳さんと呼ばれていた男性が言った。この中から武器をか――て、ちょっと待て。この籠一体何キロあるんだよ。

 

 しかもそんな籠を一人で背負ってくるって、見た目にはそこまでのパワーがなさそうなのにすごいな。


「むぅ! これを一人で持ってきたのか。その筋肉――感服したぞ!」


 いつの間にか中山が籠の前にいて持ち上げようとして驚いていた。やはりかなりの重さだったんだな。


「ははは、君はすごい筋肉だねぇ」

「うむ! トレーニングは欠かしてないからな! プロティンだって常備している!」

「それはそれは大したもんだ」

 

 中山の語りを聞きつつ笑顔で対応する徳さん。物腰が柔らかい人だな。


「では最初の五人を決めます」


 言って香川さんが最初に探索に入る五人の名前を口にした。呼ばれた五人が武器を選び彼女と一緒にダンジョンに入っていく。


「それにしてもこんなポッカリ穴が空いたダンジョンもあるんだな」

「ワン」

「ピキィ~」

「マァ~」


 香川さんたちが入った後のダンジョンを見つつ感想を言った。モコ、ラム、マールも興味津々といった様子でダンジョンを覗き込んでいる。


「これは直下型ダンジョンだね。ダンジョンのタイプとしては洞穴のように出来る事が多いのだけど、こんな感じでぽっかり穴が開くパターンもあるのだよ」

 

 俺の疑問に徳さんが答えてくれた。洞穴タイプというと俺が皆と暮らしているダンジョンがまさにそれだな。


「それ以外も急に城や神殿が出来たり塔が出来るパターンもあるね。こっちは結構レアなんだけどねぇ」


 突如生まれた建造物がダンジョンになるパターンか。急に見たこともない建物が出来ればかなり目立つだろうな。


「直下型ダンジョンは結構危ないのが難点だよねぇ。急に穴が出来るわけだし可能性は低いとは言えねぇ」


 徳さんがこの直下型ダンジョンの欠点を口にした。確かに突然穴ができるとなるとその時に人がいたら危ないな。勿論彼の言うように、たまたま生まれたダンジョンに人が落ちる可能性なんて相当低いんだろうけど――

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