第22話 正直に話してみた
いつも感想や誤字脱字報告を頂きありがとうございます!
「改めて、本当にありがとうございます。それと──最初の無礼、すみませんでした」
そう言って秋月が深く頭を下げる。
「謝罪はもういいさ」
俺は手を振って笑った。
「それよりも一つ伝えたいことがある。実はここで宝が一つ見つかったんだ」
「え!? 宝ってこのダンジョンにですか!?」
驚きと期待がないまぜになった声。放置ダンジョン=無価値、という通説を考えれば当然の反応だ。
「これだよ」
俺は腕を差し出し、ラムが生成したソケットに収まった瑠璃色の石を見せる。
「きれい……。でも、何の石?」
「ジョブストーン。今朝、宝箱が突然生成されてて、中にこれが入ってたんだ」
「ジョブストーン……! ネットで読んだことはありますけど、初めて見ました」
秋月は石の表面に浮かぶ虹彩を食い入るように見つめる。ジョブストーンの知識はほぼ無いらしく、俺が簡単に説明すると真剣に頷いた。
「で、興奮して装備しちゃったんだけど、この山の所有者は君だろ? 本来なら返すべきじゃないかと思って」
きちんと筋を通さなければ、あとで禍根を残す。俺はそう考えて正直に申し出た。
「装備してしまったとは言え、解除する方法もあるようだからな。売ればそれなりの金額になると思うよ」
俺の話を聞き秋月が口元に手を当て、くすっと笑う。
「風間さんって、ものすごく真面目ですね。だって黙ってれば自分の物にできたでしょう?」
「いや、土地もダンジョンも君のものだ。勝手に持ち逃げはフェアじゃないさ」
「ふふ。本当に“できた人”なんですね」
秋月は石を覗き込み、ふっと表情を柔らかくした。
「──これは風間さんにこそ相応しいと思うんです。何となく、ですけど……この石が“持ち主はあなた”って言ってる気がして」
「石が、俺を?」
「変ですよね。でもそう感じるんです」
空耳――そう、宝箱を開けたときに微かに聞こえた声を思い出す。偶然かもしれないが、胸の奥で支えていた物がとれたような気持ちになった。
「わかった。ありがたく貰っておく。ただ、貰いっぱなしは気が引けるし、今後このダンジョンをどう運営するかもある」
「運営……?」
「ここには農業向きの土がある。スキルを駆使すれば、普通じゃ作れない魔力野菜を生産できそうなんだ。いずれは収入源になるかもしれないし、そうすれば山の管理費にも回せるかもしれない」
秋月の瞳がぱっと輝く。
「本当にそんなことが……。でも、その前に風間さんのお住まいは?」
「それが無いんだよね。会社もクビ、家も立ち退き……今はモコとラムとここで寝泊まりしてる」
「えぇ!? 一体どういう経緯ですか!」
食いつくような視線に押され、俺は深く息を吐いた。
「──じゃあ、順を追って話すよ。顧客情報流出の濡れ衣を着せられてさ……」
秋月、モコ、ラムがじっと耳を傾ける。洞窟の淡い光の下で、俺はこれまでの顛末を語り始めた。
あとがき
|モコ| ワンワン!(読者のみんな、今日も読んでくれてありがとう!)
|ラム| ピキィ~♪(わぁい、ページを開いてくれるだけで嬉しいねっ!)
物語も気づけば 第22話。ここまでお付き合いくださった皆さま、本当にありがとうございます。
おかげさまでランキングもぐんぐん上昇中。もう作者のテンションとモコの尻尾が同じ速度でブンブンしています。
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ラム :ピキィィ~♪(星のきらめきが、ぼくたちの魔力のごはん! ありがとう~!)
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今後も 「癒し×ワクワク」成分多め でお届けしますので、気が向いたら感想も投げてくださいね。
それでは引き続きモコ・ラム・風間、更に秋月も加わってのスローライフを見守ってくれると嬉しいです!




