表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
親友に裏切られ婚約者をとられ仕事も住む家も失った俺、自暴自棄になり放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました  作者: 空地 大乃
第三章 放置ダンジョンで冒険者暮らし編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

172/177

第171話 思わぬ収穫

 冒険者通りに行く予定も立ち、ひと段落したところで、ふと気づいた。


「そういえば、畑の人参。育ってるか確認してみるか」


 俺の言葉に、モコとマールがぴょんと跳ねて反応する。


「ワンワンッ!」

「マァ!」


 まるで「行こう行こう!」とでも言いたげな様子で、他の皆もつられるように動き出した。


「よし、見に行ってみよう」


 畑は、テントから少し離れた区画にある。あのときホームセンターで買った鍬やスコップ、移植ゴテにホースまで、今ではすっかり馴染んでいる。


 土は柔らかく、植物の気配が力強く伝わってくる。ダンジョンの土壌は不思議な力を帯びていて、普通よりも成長が早いようだ。


「お、いい感じに葉が茂ってるな」


 試しに一本、モコと一緒に引き抜いてみると……


「……太っ!」


 驚いたことに現れたのは拳ほどもある立派な人参だった。まさかもう育ってるとは――それにしてもよく育ったな。土の香りと、ほんのり甘い香りが混ざって鼻をくすぐる。


「ピキィ~♪」

「モグゥ~!」

「ゴブゴブ!」


 ラムもモグもゴブも大はしゃぎ。収穫祭気分で他の人参も掘り起こしていく。


「ちょっと待てって、お前ら早ぇよ!」


 皆でわちゃわちゃと賑やかに収穫している中、俺はふと引き抜いた人参をまじまじと見つめた。


(なんだ、この色……普通の人参と少し違うような?)


 試しにステータスを確認してみる。すると――


魔根人参(まこんにんじん):ダンジョンの魔力を吸って育った強化作物。使用時、一時的に筋力と反応速度が微上昇する。調理することで効果時間が延びる』


「……おいおい、これマジかよ」


 驚いて視線を落とすと、右手のジョブストーンがうっすらと輝いていた。


「……これ、まさか」


 急いで腕のジョブストーンを使い、壁に投影する。


ジョブ名:農民

装備者:風間 晴彦

ジョブレベル:3

戦闘力:D

魔法力:D

信仰力:C

生産力:B+

成長力:C

スキル

土壌改良(20㎡)、土鑑定、【作物鑑定】、耕作力向上(中)、栽培力向上(中)、農民用中級鍬術、鍬強化、土穴砕、天耕撃、土竜突、天地返し


「何か色々変わってる……!」


 ジョブを確認したら結構な変化があった。ジョブレベルは2→3になっていて、生産力もB→B+に。


 土壌改良が10㎡→20㎡に、耕作力向上と栽培力向上も【小】から【中】に上がり、新しいスキルとして【作物鑑定】が増えていた。この新スキルは育てた作物の性質を見極めるスキルらしい。今までは土や育成環境の鑑定しかできなかったのが、ようやく成果物にも対応したってわけか。


「よぉし、今日は祝福と収穫の日だな!」

「ワンッ!」

「ピキィ♪」

「モグ~♪」

「マァ~!」

「ゴブゴブッ♪」


 俺たちは思いがけない収穫とスキルの成長を祝いながら、畑作業を始めた。


 その様子を秋月がスマフォ片手に撮影していた。皆の様子を笑顔で見ている。


「ふふっ、皆すごく楽しそう。この映像、きっと喜んでもらえると思うな」

「ハハッ、たしかにな。これで視聴数も伸びるといいけどな」

「うん、そうだね。この調子で、もっと畑の様子も撮っておきたいね」


 秋月のスマフォが軽快に動く。俺たちの様子を映しながら、彼女は優しい笑みを浮かべていた。


「でもハルさん、こんな立派な人参が採れたんだね! すごいよ!」

「ああ、まさかここまで育ってるとは思わなかったよ」


 彼女の笑顔と収穫の喜びで、今日もまた、心があったかくなるのだった。


 ダンジョンでの生活には、まだまだ知らない可能性が詰まっていそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ