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六角氏軍記~戦国乱世を生き抜きたい~  作者: タスマニア


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観音寺城観光

ファンタジーものを書くのは正直歴史物を書くより大変。

 1552年 12月 観音寺城


 曲輪の拡張に伴う屋敷の改築等で、以前より部屋が増えて広くなっている。新たな曲輪の造成によって甲賀衆・伊賀衆の屋敷が作られている。


 観音寺城は、より大規模で堅固になりつつある。3カ国100万石を越える大大名に相応しい城となりつつある。早く完成を見たいものだ。


 そんな観音寺城を弟達と探索して回る。観音寺城には、商人や領民などが様々な揉め事の裁決を求めて登城する。一部出入り禁止のところがあるが、城の多くは行政の拠点として解放されている。


 その他にも、近江に下向してきた公家が援助を求めて城にやってくる。この場合は、専用の出入口に案内し、そこから輿に乗り換えてもらい本丸まで一直線で進んで行く。高貴な僧侶がやってきた時も同じ扱いである。


 このような事を後ろに付いてくる鶴寿丸に話してやる。家臣達からは、なかなか武芸の才に恵まれていると評判のようだ。弟としっかりと深い絆を結んでおきたい。高い技術力があっても、信頼出来る身内が居なければ、安心して敵を攻撃出来ないものだ。


 「兄上、足が疲れました。休みたいです。」


 「ならば近くに三雲の屋敷がある。あそこで休憩させて貰おう。」


 三雲屋敷を訪れると、三雲定持はおらず代わりに三雲賢持が対応してくれた。部屋に通され、お茶と茶菓子による歓待を受ける。


 「粗末なものしか出せませぬが、どうかご容赦を。」


 「構わん。我らも急に押しかけた身。其方にはいつも苦労をかけるな。」


 「何を仰いますか。若様の信頼に応えるために、武芸に政務にと励む毎日でございます。しかし、若様が弟君を連れ立っておられるのは珍しいですな。」


 「近頃は、互いに忙しく疎遠になっていたため、気晴らしも兼ねて散歩をしておる。」


 そう答えると、賢持は納得したように頷いた。そして、竹筒の水筒と握り飯を持たせてくれた。細かな所に気配りが出来る良い男である。


 そのまま我ら2人は、水筒と握り飯を抱えて観音正寺跡に向かって歩く。上御用屋敷の隣にあった観音正寺は、今回の城の改築によって麓に移され、その跡地には新たな本丸が建てられている。


 そこで働く職人達を眺める。運び込まれた木材を炭引きし鋸や鉋等で削り、組み立てていく。


 「お前が将来入る今浜城もこのように職人達が建てておる。私にも言えることだが、領主として城に入った時、お前は職人・商人・農民を思いやった政治をしなければならない。」


 「父上や平井からよく言われます。」


 「そうか。なに、お前も大きくなれば直ぐに分かる。」


 そう言って次は北におりて、三井や伊庭等の屋敷を通り過ぎ淡路丸へ向かう。道中では、弟の近況を聞くなどのたわいのない話が続く。


 「兄上、私は何時も猿夜叉丸と比べられ、肩身が狭いのです。」


 「何を言う。お前の弓・馬の上手さは父が起こした佐々木流を私ではなくお前に伝授しようと考えさせる程。周りの者は皆、お前を奮起させる為に、わざと猿夜叉のことを大袈裟に伝えておるのだ。お前はそのような戯言を気にせず大きな心構えでいれば良いのだ。」


 正直に言って、弟の弓や馬術の腕前は私を遥かに通り越している。贔屓目を抜きにしても猿夜叉丸に劣っているとは思えない。少し短気な所さえ改善されたら六角の武力の一翼を担う将となるだろう。猿夜叉丸と弟には仲良くして欲しい。将来、対織田や対三好の戦線での指揮をとって欲しいからだ。


 美濃は将来、斎藤道三の国譲状を根拠とした織田信長と土岐頼芸を担ぐ六角家との間の戦場になるだろう。その時に本国から離れる事が出来ない場合の軍の指揮を弟に預けたいと思っている。なので、ここでは自信を弟に付けさせ、短気な性格を何とか矯正する為に話をしたのだ。


 今回弟と深い絆を築く為の大きな一歩を踏み出すことが出来た。このまま上手く弟と付き合っていきたい。次は、浅井猿夜叉とも深い関わりを持ちたい。今まではあまり関わりがなかったが、ここで大きく関わっておきたい。


 正直に言って、技術力を上げることのみに目が行っており、周囲の人々と深く関わることがあまり無かった。現に限られた家臣達とだけ交流を深め、他の家臣とは顔を合わせるぐらいである。


 この遅れを取り戻すために、色々な家臣達や同年代の子供達に手紙を送りまくることとした。軽い品物も添えてだ。今度、子供達を集めて竹とんぼの大会でも開こうかと考えている。


 人との繋がりを軽視しがちな所がある自分を自分でしっかりと操らなければならない。どんなに革新的な事も、人々にその意義を理解してもらわなければ実現出来ない。その時に浅い仲では話すら聞いて貰えない。


 人との繋がりが重視される戦国の世において致命的な欠点を持っていることを自覚させられ、常に自分を諌めることを強く意識させられた1日になった。

反省はしたが、登場人物は余り増えない。作者が扱いきれないので。


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 野良田の戦いのフラグを折れ!(笑)
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