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六角氏軍記~戦国乱世を生き抜きたい~  作者: タスマニア


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新将軍誕生

今回は少し短いです。

1546年10月 観音寺城

 京では細川国慶に対する徳政一揆が発生したようだ。これは、国慶が徳政と引き換えに一揆勢に軍事動員をかける約束だったのだが、本格的な動員をかけることなく、京の制圧に成功してしまった為に一揆勢が無理やり徳政を引き出すために行動を起こしたとのことだ。


 やはり国慶の軍事力については大きな不安がある。更には資金源にも大きな問題があるらしい。


 彼らは発給した安堵状と引き換えに礼銭(手数料)を得ることに必死だそうだ。


 例として、東寺の領地である上久世荘の一部は遊佐長教方の平盛知へ安堵されているが、盛知が領地を全て奪おうとしたために、東寺が細川氏綱に訴えでるという事件があった。氏綱は国慶を通じて、押領差し止めを命じており国慶は東寺へ年貢が納められること約束する事を伝えた。しかし、数日後国慶は再び同じような内容の文書を東寺へと送った。更にその後も1週間刻みで同じような文書を送っている。


 このように文書を度々送り付けている真意は、今村慶満の書状より判明する。内容は「押領は止まったので礼物の準備をお忘れなく」という内容であり、手数料を要求するものであった。だが、今村慶満は一度10貫文の礼銭を受け取っている。


 最後には、国慶配下の伊吹広家が「礼物の残りを今日中に渡して貰わないと、明日にも催促を加える」と脅し紛いの手数料徴収を行っている。


 このように、国慶は安堵状発給と引き換えに様々な条件を付けている事が多く、これは彼らの経済基盤が弱い事を表している。


 目を京から近江へ向けて見ると、将軍義晴が細川晴元を切って細川氏綱に乗り換えるのでは無いかという噂が、こちらにまで流れ込んで来ている。しかし、将軍足利義晴を支えるもう一つの柱である祖父定頼は、娘を細川晴元に嫁がせている。本当に晴元を切るとなると反対するだろうな。


 我が六角氏に目を向けると、将軍義晴が祖父定頼に菊童丸の加冠役を務めて欲しいとの要請があったようだ。しかし、前例が無いことや細川晴元に配慮したり、家格が落ちるとの事で再三に渡って拒否したが、将軍側の意向が変わらず渋々承諾したようだ。


 加冠役は現職将軍がやった例もあるのだが、それでも定頼を加冠役としたのは晴元になびかないようにするためなのだろう。


 承諾してからというもの、定頼の好みを反映させた儀式が行われる予定となった。やるからには主体性を持って元服の加冠役を務めるようだ。


 1546年12月 観音寺城

 16日に定頼以下六角氏一行が観音寺城を発ち、琵琶湖を渡り坂本へ到着した。この中に俺も同行している。御門警護役は目賀田貞遠、辻固は楢崎、三上三雲、蒲生が務めることとなった。


 17日、加冠役は四位でなくてはならない。ここで、今まで朝廷や公家に献金してきた事が役に立った。祖父定頼は事実では従四位下だったがこちらでは従四位上に叙され、父義賢も従五位上に叙される事となった。


 18日には義輝が樹下邸に到着し、元服式が行われた。ここで、祖父の好みが反映された儀式が行われた。同日、義輝の将軍宣下と共に義晴の近衛大将就任の儀式もあった。


 近衛大将就任は、朝廷から事前に勅書が出され旧例に則っているか、定頼の元へ問い合わせがきた。そして、定頼が保証をし。大将就任も承認したのである。


 20日。将軍の就任式が行われた。祖父定頼が加冠役を務め、叔父の大原高保は泔坏役、父義賢は警護役を務めたようである。そして、この儀式は24日まで行われた。


 この儀式の一連の流れを見ていると、史実では管領代がまるで管領の代わりのように見られているが、実際は全く異なっていることがわかる。そして、祖父定頼は今まで、将軍を奉じて政務をこなすのみならず、将軍誕生の産婆役を務めたことによって名実ともに天下人と言っても過言では無いだろう。


 今がまさに六角氏の最盛期である。これからは三好長慶、織田信長などの新興勢力が台頭して来る時代になる。古くから続く名門六角氏を、これからも繁栄させて行けるかどうかは、新興勢力が台頭してくる時の当主である俺の両肩にのしかかってくる。より良い未来を掴むため最盛期のうちに力を溜めることが重要だろう。

感想、ご意見お待ちしております。

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六角家臣団の中に「田賀目」の名前が見えますが、「目賀田」の誤りでは?
義輝?足利義輝の初名は義藤では?
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